定年後もどこかで働きたいけれど、プライドは失いたくない。自分や家族との時間は確保したいけれど、収入もある程度欲しい。そんな贅沢を叶えられるのが「社外顧問(=定年顧問)」という仕事です。本記事では『楽しさと生きがいを手に入れる 定年顧問』(自由国民社)から、著者の岩﨑 和郎氏が、社外顧問として働く魅力についてご紹介します。
顧問という肩書があると、精神的、世間的、金銭的な満足が手に入る
定年後の働き方には、①再雇用に応じる②転職する③人材派遣会社に登録して嘱託として働く④パートやアルバイトで働く⑤起業すると、主に5つが挙げられますが、そのどれもが収入や時間などの問題があり、満足を得られないことも少なくありません。
しかし、実は定年後の働き方にはもう1つの選択肢があります。それが「社外顧問」です。実際に私は、定年後に「社外顧問」として働いています。社外顧問は、事業についてのアドバイスや、人脈の紹介などをします。
一番期待されるのは、人脈の紹介です。販路の拡大のためには、人脈の紹介が一番重要です。多くの人脈がある方であれば、その人脈の紹介だけでも顧問として働くことができます。まさにアルバイト感覚で人脈の紹介をするといった具合です。
人脈の紹介を続けていると、社内事情や営業の進め方等について、気づくことが出てくるでしょう。そういった場合は、ぜひ良い方向へもっていくようにアドバイスをすることをおすすめします。このようなアドバイスをすることにより、ただ単なる人材の紹介から、別の案件の依頼につながることになるからです。
私が社外顧問を始めたことで、周囲の私に対する見方が変わってきたように思います。
「顧問の働き方は年齢からすると最高の職業だ」とか「定年がなく、場合によっては長く勤められていいね」とか「昔苦労したことが役立っているのね」とか、さまざまな言葉を投げかけられるようになり、まんざらでもない心境にあります。このような言葉は、他のいかなる仕事をしていたとしても、まず出てはこないでしょう。
ニュアンス的には、企業の会長、社長、役付き取締役(専務や常務など)、取締役などを退任した人との位置づけといえます。
社外顧問としての出社は、週1、2日という例が多いでしょう。周りから見ると、フルタイムの出勤ではないため、ただのパートタイマーではないか、と思われることもないわけではありませんが、「社外顧問として、働いている」と説明すると、見方がガラッと変わってきます。
つまり、「定年後フルタイムで働けなくなったから、週3日働いている」と見られていたものが、「社外顧問」として働いていると説明すると、「当然」という見方に変わるようです。
具体的に「社外顧問」になる方法や待遇面などに関して質問されることも増えました。わかる範囲内で答えていますが、「社外顧問」という仕事に興味を抱いている人が少なくないこともわかりました。
顧問の仕事を続けているとわかることですが、企業側からの期待は想像以上に大きく、仕事はやりがいがあり、精神的には、非常に高ぶり、ハイな状況になります。世間的にも羨望とまではいきませんが、いつかはやってみたい、できることならやってみたいという仕事の1つでしょう。
さらに金銭的にも満足できる報酬も得ることができます。シニアにとって、最高の仕事といっても過言ではないと思います。
社外顧問の最大の魅力は、わずかな時間で高額の報酬が得られる点です。社外顧問は、専門的な知識やノウハウをもって、高度なサービスを提供することを目的としていますので、報酬も高額となります。
今現在、私は週1回、1時間半、顧問として仕事をしていますが、この仕事で私が得ている顧問料は月10万円です。これが高いか安いかは一概にはいえないと思いますが、実働時間を考えると安くはないでしょう。
現在、できればもう一社、顧問先を増やしたいと考えていますが、もしそれができれば年金を含めて、経済的にはかなり余裕が持てるでしょう。余裕というのは、固定的な生活維持費をまかない、その上で旅行であるとか、私生活での楽しみにお金を使うことができる、ということです。