定年後の働き方の選択肢は限られています。企業の取締役など「組織で位を極めた人」であれば、取引先企業に厚遇で迎え入れられたり、業界団体の公職に就くなど、引く手数多(あまた)かもしれません。ただ、そういう人はごく少数です。では、普通の人には長年働いてきたプライドを保てるような働き方はないのでしょうか。「社外顧問=定年顧問)」は、その1つ。本記事では『楽しさと生きがいを手に入れる 定年顧問』(自由国民社)から、著者の岩﨑 和郎氏が、その知られざる世界をご紹介します。
定年前後は、これからの人生や仕事について誰もが悩む時期
50代も後半になると定年後のことについて誰もが悩む悩む時期になります。定年後に再就職するのか、再雇用に応じるのか、あるいは就職することなく豊かな老後を味わうか、あるいは起業するのか。多くの方は真剣に、あるいはなんとなく思い悩んでおられると思います。
住宅ローンの残りがあとどれぐらいか、退職金はどれぐらい出るのか、再雇用の条件はどうなっているのだろうか。未知の領域であるだけに、さまざまな不安もあるでしょう。
このように思い悩んではいるものの誰に相談していいかわからない。会社に聞けばいいのかもしれませんが、転職でもする気なのかとか、早期退職するのではないかなどと、変に勘ぐられたくはありません。相談したくてもどこに相談すればいいのかわからない、というのが現状ではないでしょうか。
しかし、実際のところ現実的に選択できるのは次の5つしかありません。
②転職する
③人材派遣会社に登録して嘱託として働く
④パートやアルバイトで働く
⑤起業する
いずれを選択するべきか。一番手っ取り早いのは、同じ会社で再雇用に応じた人の話を聞くことです。再雇用以外のことを考えている人は、再就職した人や、起業した人など、それらの別の道を選んだ人に聞くことになります。とはいえ、いくら人に聞いてみたとしても、各人それぞれの事情がありますので、自分に置き換えた場合、どれがいいのかという判断がつかないはず。
このように思い悩んでいる状況で大切なことは、「自分自身の今までの人生」を、ここでもう一度振り返ってみることです。振り返ってみて、自分自身の「棚卸し」をすることです。
人生で楽しかったこと、嬉しかったこと、悲しかったこと、興奮したこと、そのような出来事を振り返り、一つひとつについて再度考えてみましょう。そうすると、今後の人生についての道筋が見えてくるかもしれません。一つひとつの悩みをどうやって解決し、今後どのようにしていきたいのか。あなた自身がやりたいことを見極めて、その道を進んでいくという姿勢が必要です。
定年後は、基本的にはやりたいことだけをやっていけばいいのです。定年後の働き方について現実を知る必要はありますが、やりたくないことをあえてやる必要はありません。