「貯蓄から投資へ」と国をあげて投資熱が高まるなか、投資先を迷っている人も多いでしょう。そこで目につくのが「S&P500に連動したインデックスファンドだけを持っていればいい」という“アメリカ株最強説”です。しかし、経済評論家・山崎元氏は、S&P500ではなく、全世界株式の「オルカン」をすすめていました。いったいなぜか、詳しくみていきましょう。※山崎元氏は2024年1月1日に逝去されました。衷心より哀悼の誠を申し上げます。
「アメリカ株が最強」は本当?…経済評論家・山崎元が“S&P500”よりも“オルカン”をすすめていたワケ
米国株が今後も上がり続けるかは不透明…平均点の「オルカン」が安全策
山崎先生:昔は人気だった日本の株が、いまでは世界の6%にも満たなかったりするし、アメリカの株が今後も同じように上がり続けるかはわからないよ(図表2)。
それに、30年って言うとすごいデータだと思うかもしれないけど、運用は20年、30年と続けるんだから、たった1回分くらいのデータに過ぎない。根拠にも証明にもならないね。
大橋:でも、あのアメリカですよ……。当分は問題ないんじゃないですか。
山崎先生:そもそもオルカン(世界株のインデックスファンド)には、今なら米国株が6割以上入っているから、実質的に、米国株にも投資できている。それに、世界の株式市場はますます連動性が高まっているから、そもそも両者の差は大きなものではないね。
大橋:たしかにアメリカの金融機関がつぶれただけで、日本で会社をやめさせられたりする人が出てくるわけですからね。それだけ世界の経済は密接なんですね。
山崎先生:とはいえ、アメリカだけに集中させてしまうと、アメリカという国の経済政策や税率、規制が変わると、アメリカ株だけが大きな影響を受けるリスクはある。
お金を増やすには、平均的な成績を出せるように投資するのが原則。それなのに、アメリカだけに集中させるのは、一種のアクティブファンド(偏りを持たせた運用)になる。
オルカンという1つの商品を買えば「全世界の株式を平均的に買うこと」ができるのだから、オルカンがいいと私は思うよ。
山崎 元
経済評論家
大橋 弘祐
作家/編集者