「貯蓄から投資へ」と国をあげて投資熱が高まるなか、投資先を迷っている人も多いでしょう。そこで目につくのが「S&P500に連動したインデックスファンドだけを持っていればいい」という“アメリカ株最強説”です。しかし、経済評論家・山崎元氏は、S&P500ではなく、全世界株式の「オルカン」をすすめていました。いったいなぜか、詳しくみていきましょう。※山崎元氏は2024年1月1日に逝去されました。衷心より哀悼の誠を申し上げます。
「アメリカ株が最強」は本当?…経済評論家・山崎元が“S&P500”よりも“オルカン”をすすめていたワケ
「S&P500」を勧める人の“3つの根拠”と、その根拠に対する反論
――後日
大橋:先生、ひどいじゃないですか……。
山崎先生:どうしたの?
大橋:家に帰って、先生が言ってることが正しいか、ネットで調べたんですよ。そしたら、アメリカの株が最強だから、オルカンじゃなくS&P500に連動したインデックスファンドだけを持っていればいいって言ってましたよ。先生、僕に嘘を教えました?
山崎先生:誰が言ってたの?
大橋:YouTubeのインフルエンサーです。
山崎先生:……。君は本当に私のことを信用しないね……。私のYouTubeも観てよ。
大橋:でも、結構言っている人は多いんですよ。どうしてオルカンのほうがいいか教えてください。
山崎先生:わかった。まず、S&P500に連動したインデックスファンドは、オルカンが世界全体に投資していたのに対し、アメリカの優良企業500社のみに絞った、株式の詰め合わせだね(図表1)。
大橋:アップルとかテスラとかアメリカの企業500社に絞ると、少数精鋭でかっこいいイメージがしますが……。
山崎先生:S&P500がいいという人の意見はこのあたりだね。
・ここ30年間くらい成績が世界全体の株価指数より良かった。
・ アメリカは日本やイギリスなどとは違って、先進国で唯一、人口が増え続けているから、これから経済が成長すると考えられている。
・アメリカの証券市場は利益を投資家に還元する環境が整っている。
大橋:はい……。たしかにアメリカといえば株式取引が活発なイメージがありますし、世界の経済を牛耳っているイメージがあります。
山崎先生:でもね、S&P500が良かったのは、過去30年くらいの「済んだ話」で、「これからの話」ではない。