年をとったら、寝たきりになるのは仕方ない……そう思っている人は多いでしょう。しかし、実際は自分の努力次第で寝たきりは防ぐことができると、リタポンテ株式会社取締役であり理学療法士の上村理絵氏はいいます。本記事では、同氏による著書『こうして、人は老いていく 衰えていく体との上手なつきあい方』(アスコム)から、老化を予防/遅らせる方法について解説します。
スウェーデンの10倍、アメリカの6倍。日本人に多い「寝たきり老人」…なる人とならない人の決定的な差【理学療法士が解説】
「老化」と「加齢」は別物
寝たきりになるのは、決して「年だから」ではありません。
そればかりでなく、最近では、「年だからといって、必ずしも老化するとは限らない」ということさえ、明らかになりつつあるのです。「筋肉量を測定してみたら俺、30 代並みの筋肉量だって。もう50代なのに、すごくない?」などと、自分の測定結果に気をよくした経験はありませんか?
あるいは、周囲の人から、「私、まだ30代なのに、血管年齢を測ってみたら、60代って言われたんだけど。ひどくない?」といった言葉を聞かされた経験がある方もいるかもしれません。
一言でいうと、前者は老化が進んでおらず、後者は老化が進んでいるということになります。つまり、老化は「可逆的」、わかりやすくいうと、一定に進むとは限らず、場合によっては後戻りすることができるもので、その人の努力次第で進んだり、進まなかったりする現象なのです。
「でも、実際に、年はとりますよね?」
確かに、人は生まれてから亡くなるまで、一定の方向に年をとっていきます。年をとること、「加齢」は「非可逆的」で、いくら努力しても、たとえ1歳でも年が減ることはありません。
つまり、まず、「老化」と「加齢」を別物として考える必要があるのです。「加齢」は避けられない一方で、「老化」は予防したり、進行を遅らせたりすることが可能です。そして、「老化」することを最後まであきらめなければ、回避できる寝たきりもたくさんあると感じています。
上村 理絵
理学療法士
リタポンテ株式会社 取締役