年をとったら、寝たきりになるのは仕方ない……そう思っている人は多いでしょう。しかし、実際は自分の努力次第で寝たきりは防ぐことができると、リタポンテ株式会社取締役であり理学療法士の上村理絵氏はいいます。本記事では、同氏による著書『こうして、人は老いていく 衰えていく体との上手なつきあい方』(アスコム)から、老化を予防/遅らせる方法について解説します。
スウェーデンの10倍、アメリカの6倍。日本人に多い「寝たきり老人」…なる人とならない人の決定的な差【理学療法士が解説】
寝たきりの分かれ道
ケガや病気が快方に向かえば、寝たきりを改善することも、その後に寝たきりを予防することも十分に可能だといえます。しかも、それは、単純に年齢で決まるものでもありません。
たとえば鈴木さん(仮名)は、今年の初め、脳卒中を患いました。病状が落ち着いてからも体にまひが残り、2月からの3カ月間は歩こうとしても転倒ばかりしていたそうです。実際、私たちの施設に通い始めた当初は、「こんなんじゃあ、もう俺、歩けないな……」などと、弱音を漏らされることもありました。
しかし、もともとジムで体を動かすことにも慣れており、熱心にトレーニングマシンなどで機能向上訓練を続けた結果、普通に歩くことのできる日がずいぶんと増えたのです。
「こんなんじゃあ俺、歩けないな……」と感じていらっしゃったときに、以前と同じように歩けるようになることをあきらめて、機能向上訓練に取り組まず、外出を控えてばかりいたら……。
鈴木さんは、体のバランス感覚を取り戻すことなく、筋力は衰える一方で、今ごろは普通に歩けるどころか、ほとんどの時間をベッドの上で過ごしていたかもしれません。
現在の鈴木さんの姿を見れば、普通に歩けるようになるか、寝たきりに近づくかの分かれ道で、彼が最善の判断を下されたのだとわかります。