初心者が陥りやすい、投資の落とし穴とは?

ゆ:ただしこういった高金利の商品は注意が必要です。よくよく説明を聞くと、実はセット販売で、申し込み総額の50%以上を使って投資信託やファンドラップを購入することが条件となっていることがあります。しかも7.1%の金利は最初の3ヵ月のみで、その期間を過ぎると店頭表示金に変わってしまうのです。

ワ:ええ~思ってたのと違う!

ゆ:高金利に惹かれて銀行の窓口に行き、きちんと理解していないにもかかわらず担当者の勧めるがまま契約してしまう人もいることでしょう。このようなシチュエーションで「プロのお墨付きだから問題ない」という考えをもつのは大間違いです。銀行が売るのは自分たちが儲かる商品です。決してお客様の利益が第一ではないことを念頭に置きましょう。

主:ちょ、ちょっと待ってくれ。俺はそんな高金利の商品には興味ないよ。俺も元商社マンのはしくれだ。そんな都合のいい金融商品がある訳ないことぐらい分かり切っているさ。俺はもっと手堅く、ローリスクローリターンで地道に増やそうと思っているんだ。それに年の功として言わせてもらえば、銀行の人間をはなから疑うスタンスもどうかと思うぞ? 

俺に声を掛けてくれたのは、もう何十年も付き合いのある銀行だ。お得意さんを騙そうとするわけがないじゃないか。心配いらないよ。紹介してくれた商品も、年利3〜5%と、現実味のある内容だ。これなら退職金のうち1,000万円を投資に回せば、1年で30〜50万円の運用益を得られる見込みだ。貯金してタンスに眠らせておくよりもずっといい。これが賢い選択だよ!

ワ:たった1年でそんなに増えるの? これならスルベイさんの言う通り、銀行おすすめの金融商品を購入するのがいい気がするね。

ゆ:ですが、スルベイさん。セットで購入する商品の内容や運用にかかる手数料をしっかり理解していますか?

主:え? 手数料?

お:実際に大手銀行が販売している投資信託を例にとると、購入時に約3%を超える手数料がかかります。たとえば、1,000万円分の投資信託を購入すれば35万円以上の手数料負担が発生するということです。

ゆ:投資信託では、複数の投資家から集めた資金を元手に、資産運用のプロ(運用会社)が投資を代行します。運用には各種手数料がかかるほか、利益に応じて所定の税金がかかります。

お:手数料には次のようなものがあります。

①販売手数料…購入するたびにかかる手数料。なかには、手数料のかからない商品もある

②信託財産留保額換金…解約したときに発生する手数料。なかには、徴収しないところもある

③信託報酬個人投資家に代わって投資・運用を担う運用会社に支払われる手数料

ゆ:いかに手数料や税金を安く抑えるかが重要なポイントになってきますね。

ワ:えっ……それじゃあ実際の運用益は、高額の手数料を引いた残り?

主:それじゃあ運用益が30万円だった場合、手数料は35万円で……1年目はむしろ損する計算じゃないか!

ゆ:もちろんそういう場合もあるでしょう。それに、投資信託は市況によって価格が変動しますから、買付時の資産価格を大きく下回るリスクを孕んでいることも忘れてはいけません。

また、セットで購入する商品として、投資信託ではなく外貨定期預金を選択した場合、円貨と外貨を交換する際に為替手数料が発生するうえ、為替変動リスクもあります。外貨は投資初心者が手を出すにはかなり難しいものだといえます。

主:む、むむむ……まさかそんな落とし穴があるなんて。俺は心配になって、自分が資産運用を任せている銀行へ相談に向かった。

ワ:スルベイさん急いで~。

主:「はぁはぁ」(スルべイ、走る)