交通の利便性がいい、眺めがいい、共用施設が充実している……こうした理由から、魅力の多い「タワマン」に憧れを抱いている人は少なくありません。しかし、『60歳からのマンション学』(講談社)の著者でマンショントレンド評論家の日下部理絵氏は、「住んでみないとわからないデメリットも多い」といいます。今回は、そんなタワマンの「隠れデメリット」についてみていきましょう。
外出が面倒、窓掃除の作業員と目が合う…住民が感じる「タワマンならでは」のデメリット【マンショントレンド評論家が解説】
「エレベーター待ち」がストレスになり外出が億劫になることも
エレベーターの待ち時間もストレスの元だ。最近では、低層階用、高層階用など階層ごとに停止階を決めたエレベーターを採用するなど工夫されてはいるが、やはりエレベーター待ちの時間は避けられない。また階層ごとにエレベーターを分けたことが、ヒエラルキーにつながりやっかみが起こることもある。
ゴミ置場が各階になければ、ゴミを持ってエレベーターで行き来することになりとても不便である。特にセキュリティのため、2階などの低層階でエレベーターを乗り換えるシステムだと不便極まりない。
こうしたこともあり、特に高層階の場合、外出するのが面倒になりがちである。食事も買い物も宅配が利用しやすくなっている昨今では、外に出る機会が減り、運動不足になる懸念もある。特にシニア層にとっては外で歩く機会が減ることは健康のためにも良くない。
電波が届きづらい、引っ越しが高額になりやすい…まだまだある“隠れデメリット”
またタワマンすべてではないが、携帯電話の基地局からの電波は、一般的に下方向に向かって出ているため、高層階には届きにくい傾向がある。これも意外と気付かないデメリットとしてあげられる。
さらにこれもあまり言われていないが、タワマンでは、引っ越し費用も高額になりやすい。防災センターに事前申請し許可をとっても、養生箇所の指定、使用できるエレベーターの制限、引っ越し日時の制約、引っ越し業者が指定され選べないなど、通常の引っ越しとは異なるルールがあることも多いのである。
日下部 理絵
マンショントレンド評論家
オフィス・日下部 代表