不動産保有と家賃収入はインフレにも強い

もちろん、今までの話は経済合理性を優先した話であり、お金を借りること自体に不安感が強く、気になって仕方がないなら売却を選択することを否定するものではない。

ただ、家を担保に借りている住宅ローンは使い込むことができないが、いざ売ってしまって現預金になれば、意外と使ってしまうものだ。

さらにインフレになれば、現預金の価値はどんどん目減りしていくが、株や不動産、金などはインフレに強いといわれている。家賃もインフレ時にはどんどん上がっていくが、持ち家の場合はインフレによる価格上昇に比べて金利上昇が遅れる傾向があることから、住んでいても、貸していても有利に運用できる可能性がある。

有利な資産運用の機会をみすみす見逃すのは得策ではない。持ち家から住み替えるときには、売却だけでなく貸すことも選択肢に入れるべきなのだ。

宗 健

麗澤大学工学部教授/AI・ビジネス研究センター長