2015年にバルミューダが「世界一おいしいトーストが焼けるトースター」を発売したのを機に幕を開けた高級トースターブーム。メーカー各社が「おいしく焼く技術」の向上にしのぎを削ること8年、最近ではフランスパンやクロワッサンを“窯出しの味”に近づけたり、唐揚げや天ぷらを揚げたてのカラッとした食感に戻したりできる機種も登場しています。本稿では、いつものパンをお店の味に近づけ、豊かな食卓を演出してくれる最新オーブントースターの進化に迫ります。
自宅で「窯出しの味」を再現。いつものパンがワンランク上に…“食パンをおいしく焼くだけ”に留まらない〈最新トースター〉の進化に迫る (※写真はイメージです/PIXTA)

 ※本稿は、テック系メディアサイト『iX+(イクタス)』からの転載記事です。

かつてないほどトーストのポテンシャルを引き出せるようになったトースター

 

10年ほど前まで、オーブントースターは1万円以下で購入できる比較的手頃なキッチン家電であったため、2015年にバルミューダが2万2,900円(税抜・当時)の『BALMUDA The Toaster』を発売したときは市場に衝撃が走りました。しかし同時に「トースターでここまで味が変わるとは」と感動する人が続出。高級トースターブームが幕を開けました。

 

ここで、“おいしいトースト”の条件が改めて定義し直されました。それが「外はサクッと、中はもっちり」と、メリハリのある食感を再現すること。これを実現するには、表面をきつね色に焼き上げつつ内側の水分を逃さないことが重要になります。

 

バルミューダは、トースターに5ccの水を入れて庫内にスチームを充満させることで、パン表面に薄い膜を作り、中に水分を閉じ込めたまま表面をサクッと焼き上げる「スチームテクノロジー」を開発。前例のない方式でしたが、その効果が広く知れ渡ると多くのメーカーが追随しました。

 

またトーストを焼いている時間が長ければ長いほど内部の水分が蒸発してしまうため、高火力かつ短時間で焼き上げる機種も続々登場。わずか0.2秒で発熱する遠赤グラファイトヒーターを搭載した日本エー・イー・シーの『アラジン グラファイトトースター』や、循環ファンや反射構造が熱効率を高めるシロカの『すばやきトースター』が人気を博しました。

 

一方、世間では同時期に「乃が美」や「銀座に志かわ」などの高級食パンブームが到来します。トーストせずに生の食感を味わう高級食パンブームに呼応してか、過熱水蒸気を利用したシャープのウォーターオーブントースター『ヘルシオグリエ』には、焦げ目をつけずにふっくら温める「ふわふわ(弱)モード」が搭載されました。

 

かつては高くても1万円程度だったオーブントースターですが、BALMUDA The Toasterの登場以降は高価格化が進み、いまでは2~3万円台かそれ以上という機種も珍しくありません。ただその分、機能面の進化は著しく、トースターはかつてないほどトースト本来のポテンシャルを引き出せるようになっています。