ミツバチは蜂蜜を作るだけでなく、「世界の食料の9割を占める100種類の作物種のうち、7割はハチが受粉を媒介している」といわれるほど農作物の生産に大きな役割を果たしています。しかし、近年ミツバチの個体数は減少の一途を辿っているのが現状。そこで、現在ミツバチを育てる養蜂の現場ではAIなどの技術を活用しています。ミツバチの減少を食い止めるため、さまざまな対策が取られていました。
放置すると野菜や果物、穀物の生産不足も引き起こす…姿を消しつつあるミツバチを救え!世界中の企業が参戦する「養蜂テック」とは (※写真はイメージです/PIXTA)

 ※本稿は、テック系メディアサイト『iX+(イクタス)』からの転載記事です。

ミツバチ減少の背景

 

ミツバチの数が減少している要因には、さまざまなものがあります。

 

蜜源の減少

まず、養蜂家の老齢化による廃業に伴うもの。土地の開発や離農による農業地の減少などが原因と思われる、蜜源の減少も問題になっています。

 

蜜源にはアカシアやレンゲ、クローバー、菩提樹※1などさまざまな植物がありますが、農林水産省の調べによると、蜜源植物面積は1985年に比べて2018年には約3分の1に減少。ミツバチが生息する場所はどんどん失われています。

 

※1:菩提樹(ボダイジュ):和名は「シナノキ」、海外では「リンデン」と呼ばれ、リラックス効果のあるハーブとしてアロマテラピーやハーブティーによく使われる。

 

女王蜂がいるのに働き蜂がいなくなる!?

 

巣に女王蜂や蛹などがいるにもかかわらず、働き蜂がいなくなってしまう「蜂群崩壊症候群」も世界中で問題視されています。

 

蜂群崩壊症候群の原因は農薬の影響が少なくないとされていて、なかでも神経伝達を攪乱する作用(神経毒性)をもつ「ネオニコチノイド系」の農薬がミツバチの神経系を狂わせ巣に戻れなくなっているという指摘も。ほかにも、ミツバチの体に寄生するダニによる被害も見逃せません。

ミツバチ減少を食い止める…「Bee Sensing」の取り組み

これらの問題を解決するため、日本では養蜂現場でミツバチの管理をおこなう支援アプリケーションBee Sensingが登場。元グローバルIT企業勤務で、現養蜂家の松原秀樹氏が代表となり開発しました。

 

Bee Sensingは巣箱のなかにセンサーを取り付け、温度と湿度を計測して巣箱内の状態を記録することでミツバチの健康状態を把握できるシステム。観測したデータを巣箱から遠く離れた場所で確認できるのも特徴の1つで、これまで養蜂家にとって負担の重い作業だったミツバチの健康管理が効率化されます。

 

さらに測定したデータと作業内容は蓄積され、AIが養蜂のノウハウを学習。従来なら熟練の技や経験が必要だったミツバチの管理をシステム化し、養蜂への参入ハードルを低くします。

 

また、巣の点検のために巣箱を開けるのはミツバチにとって大きなストレスです。Bee Sensingを活用すれば巣箱の開閉を最小限に抑えられ、ストレスフリーな環境でミツバチを健康に育てることができるでしょう。

 

ミツバチの健康異常の早期発見とともに、AIによる学習で収量アップも期待できるBee Sensing。作業の効率化だけでなく、養蜂業の裾野を広げる一助になるのではないかと期待されています。