投資業界の「不都合な真実」とは

【登場人物】
山崎先生(山崎 元)……経済評論家。東京大学経済学部を卒業後、三菱商事に入社し、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券など、合計13社で金融関係の仕事を経験。

金融業界の“裏の裏”まで熟知し、経済評論家となったあともテレビや雑誌、YouTubeなど多くのメディアで活躍。切れ味の鋭い発言を連発している。お金のことをなんでも知っていて説明もわかりやすいが、ちょっとクセが強い。

大橋(大橋 弘祐)……大手通信会社から、37歳で一念発起し作家・編集者に転職。お金の知識はなく、経済のニュースを聞いてもよくわからない“ド素人”。給料が上がらず税負担が増えるいま、将来に不安を抱え「お金を増やしたい!」と思っている。

大橋:先生、インデックスファンドが安いということですけど、成績は普通なんですよね……。多少高いお金を払ってでも、頭のいいプロの人に選んでもらったほうがいいんじゃないですか。

※ 「投資信託には大きく2種類ある。プロ(人)がどの会社の株がいいか選んで詰め合わせをつくっているのがアクティブファンド。もうひとつは株価指数(インデックス)の中身に合わせて、機械的に詰め合わせをつくっているインデックスファンド。それで、わたしはアクティブファンドよりインデックスファンド。その中でも、世界中に分散投資できる「オルカン」と呼ばれている商品をオススメしている。」(『新NISA対応 超改訂版 難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!』(文響社)より抜粋)なお、アクティブファンドよりインデックスファンドのほうが手数料が安い。

山崎先生:実は、そんなことないんだ。

大橋:そうなんですか……。

長期でみると、インデックスファンド(機械的)>アクティブファンド(プロ)

山崎先生:じゃあ、ここからは、インデックスファンドをすすめる1番の理由を説明していく。まず、20年くらいの長期でみると、インデックスファンドより良い成績をおさめるアクティブファンド(プロの投資家)は、ほとんどいないし、誰が勝つかは、事前にはわからない。

大橋:そういう仕事の人って、ものすごい頭のいい人がやっているイメージですけど、サッカーでいうブラジル代表のように投資の最強チームみたいな人たちはいないんですか? この人たちに任せておけば大丈夫っていう、優秀な人たちです。

山崎先生:そんな人が本当にいたら世界の富の何割かを1人占め出来るはずだけど、現実の大金持ちの資産はたかだか十数兆円くらいでしかない。

仮にいても、自分で分かっていればその能力を他人のために使ったりしないでしょ。だから、われわれは気にしなくてもいいというのが1つの答えだね。実際、ノーベル経済学賞の受賞者が運用チームにいても倒産したファンドがある。学力優秀な人が儲けられるという訳でもないの。市場という仕組みはゲームとしてなかなかよく出来ているんだよ。

大橋:そうなんですか……。

山崎先生:それで、短い期間でみれば、インデックスファンドより成績のいいアクティブファンドはあるんだけど、インデックスファンドはいつも平均的な成績をおさめるから、10年とか20年の長い期間で見ると、ほとんどのプロが機械的に投資しているインデックスファンドに負けるの。これは、過去のデータを見るとわかる「運用業界の不都合な真実」なんだ[図表]。

出典:『新NISA対応 超改訂版 難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!』(文響社)より抜粋
[図表]いつも平均点のインデックスファンドが長期では優秀 出典:『新NISA対応 超改訂版 難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!』(文響社)より抜粋