ドリッパーひとつとっても、円すい型に台形型…その種類はさまざまです。どの形状を選ぶかによって、お湯の抜け具合や抽出の難易度が変わり、味にも変化が出るとコーヒー抽出士の畠山大輝氏はいいます。家庭でも挑戦できるおいしいコーヒーの淹れ方について、畠山氏の著書『至高のコーヒーの淹れ方』(エクスナレッジ出版)より詳しく見ていきましょう。
「円筒型」のドリッパーはややマニアック
もう1つは円筒型と言われるタイプです。家庭用、業務用としてはカリタの「ウェーブシリーズ」が有名です。
ほかのタイプは基本的に底のほうがすぼまるような形をしていますが、円筒型は底面がフラットになっています。粉が広がる分、粉の層は薄くなります。
粉の層が薄くなると、お湯の抜けが速くなったり、均一に抽出しやすかったりなどのメリットがあります。特に、抽出後半のお湯抜けがいいので、雑味などを出したくない場合は、有効なドリッパーだと言えるでしょう。
ただし、円筒型は、使われる材質や穴の大きさで、お湯が落ちるスピードがガラッと変わってしまいます。カリタのウェーブシリーズにも、ガラス製や陶器製、ステンレス製など、いろいろな素材のモデルがあり、それぞれに合った使いこなしが必要です。
そのため、中級者以上か、ちょっとマニアックにこだわって淹れてみたいという場合に、満足感が高いドリッパーと言えるのではないでしょうか。
また、ウェーブシリーズに関しては、専用のフィルターをオンラインショップか専門店で買うことになるので、その点もややハードルが上がります。
普段使いのドリッパーは樹脂製がおすすめ
ドリッパーの素材についても話しておきましょう。
素材にはさまざまな種類がありますが、よく目にするのは樹脂、陶器、磁器、セラミック、ガラス、金属などです。金属にはステンレスやアルミ、銅などがあります。
ほかにも、携帯のしやすいシリコンドリッパーやウッドの削り出しドリッパー、竹細工で作られたドリッパーなども存在します。
これらは正直、見た目や質感、使い勝手などで、好きなものを選ぶのがいいと思います。ドリッパーはドリップポットと並んで、コーヒー器具の主役と言えるものだからです。
ただ、普段使いの道具としては、なんと言っても樹脂製がおすすめです。
それは、気温にあまり左右されないことと、割れにくいので扱いやすいことが挙げられます。また、1,000円以下で買える値段も大きな魅力です。
初めてドリッパーを買う人は、まずは樹脂製を使ってみて、そこから2個目、3個目として陶器や金属などのドリッパーを買い足していくのがいいと思います。
陶器や金属、特に銅製のドリッパーは、見た目も雰囲気があって、淹れていてもすごくおいしそうに見えます。気分も高まるので、使いたいというのもわかります。
ただ、陶器や金属のドリッパーは、物質特性と重量の関係によってドリップするお湯の熱を奪いやすいので、注意が必要です。ドリップ中にお湯の温度が急激に下がってしまうと、意図した湯温での抽出ができなくなってしまうからです。
陶器や金属のドリッパーを使うときは、あらかじめ熱いお湯をかけるなど、しっかりと予熱を行うことが大事だということを覚えておきましょう。