2.「公正証書遺言」の作り方

桜:公正証書遺言は、専門家が作成・保管してくれる遺言書でしたね。

相続ソムリエ:桜さん、よく覚えていましたね! 公正証書遺言は、公証人という専門家が遺言者の意思を汲んで遺言書を作成し、保管もしてくれるものです。書き間違いや漏れがあって法的な効力が失われたり、紛失したりする危険性がないので、安心なんですよ。

春樹:公正証書遺言はどこで作れるんですか?

相続ソムリエ:遺言者本人と2人以上の証人が一緒に公証役場を訪れることで作れます。遺言者が自分の意思や計画を口頭で説明し、公証人がアドバイスなどをしながら遺言書の形にしていきます。書面が完成したら、遺言者と2人以上の証人が内容を確認し、署名捺印をして完了です。

小百合:公証役場というところに行かないといけないのね。お年寄りには大変じゃないかしら?

相続ソムリエ:万が一、病気やケガで入院している場合には、公証人が病院や高齢者施設、自宅などに出張してくれますよ。

潤一郎:とはいえ、早く取り掛かるに越したことはないな……。

綾子:保管もお願いできるならますます安心ですね。

相続ソムリエ:はい。遺言書の原本が公証役場で保管され、遺言者には正本(原本とまったく同じ内容のもの)が渡されます。万が一、正本をなくしてしまっても、公証役場に原本が保管されているため、再発行することができます。

綾子:公正証書遺言も、家庭裁判所でOKをもらわないと効力が発生しないんですか?

相続ソムリエ:いえ。既に法的効力を持つよう作成されているので、家庭裁判所の検認は不要です

春樹:時間や手間がかからないのはメリットだね。コスト的にはどうかな? つまり、公正証書遺言の作成にどのくらいの費用がかかるのか……。

相続ソムリエ:公証人の手数料や証人の日当などを支払う必要があります。公証人の手数料は、相続財産が多額になるほど値段が高くなる仕組みです。相続財産が3,000万~5,000万円なら、公証人の手数料は3万円程度だと思っておくといいでしょう。

小百合:証人はどういう人に頼むものなんでしょう。

相続ソムリエ:ご家族でも、ご友人でも、未成年者や推定相続人以外でしたらどなたでもかまいませんよ。証人には遺言書の内容を知られてしまいますので、守秘義務がある税理士に頼むのも一つの手です。