自宅マンションの売却に関しては、事情はあれど、できるだけ「高く」「早く」売りたいもの。売却方法はおもに、不動産会社が仲介して売却、もしくは直接買い取る「下取り」の2通りありますが、「多くの不動産会社は、下取りに導きたいというのが本音」と、不動産コンサルタントの高橋正典氏は言います。日下部理絵氏、高橋正典氏、畑中学氏による著書『絶対に失敗しない! 中古マンションの見極め方』(ビジネス教育出版社)より、その理由を詳しく見ていきましょう。
急いで売りたい場合は有効な手段といえるが…自宅マンションを〈仲介で売却〉せず、不動産会社に〈直接買い取ってもらう〉リスクとは【住宅のプロが助言】
悪質な「下取り」狙いの不動産会社に要注意
ところが、現実的には売却する人は少しでも多く現金を手にしたいと思っているのに、不動産会社がきちんと販売戦略を立てて売却活動をしなかったために、結果的に時間もなくなって「下取り」等になってしまう事例が後を立たない。
さらに悪質なのは、不動産会社が最初から「下取り」に仕向けようと企んでいることもあるから注意が必要だ。売却を依頼した不動産会社が、ある「下取り」専門会社等を連れてくる場合、その「下取り」会社からも契約時に仲介手数料をもらうことになる。つまり、売却する人からの仲介手数料と、その下取った会社からの仲介手数料がダブルで手に入る。なおかつ、その下取った会社がリフォームして再販売する際の販売活動も優先的に行えることから、そこでもまた仲介手数料を得るチャンスがある。
こうしたことから、多くの不動産会社は「下取り」に導きたいというのが本音だともいえる。もちろん「下取り」をしてもらう側のメリットもある。けれども、金銭的なデメリットも併せて考えて、不動産会社に振り回されないようにしたいものだ。
日下部 理絵
マンショントレンド評論家、住宅ジャーナリスト
高橋 正典
不動産コンサルタント
畑中 学
不動産コンサルタント、武蔵野不動産相談室株式会社代表取締役