投資家から集めたお金を、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する「投資信託」。専門家集団が運用するため信頼できそうですが、世の中にある5,000種類以上の投資信託のうち、いい銘柄は1%程度だと、経済評論家の山崎元氏はいいます。そのわずか1%のなかで、山崎氏が投資初心者に向けておすすめする銘柄とは……具体的な名称と、山崎氏がすすめる理由を詳しくみていきましょう。※山崎元氏は2024年1月1日に逝去されました。衷心より哀悼の誠を申し上げます。
投資初心者はまずなにを買えばいい?…経済評論家・山崎元さんがすすめていた「たった1つの銘柄」
インデックスファンドは恐ろしいほど手数料が安い
投資信託には、「2つ」の手数料がかかる
大橋:なぜ、それををすすめるんですか? 別に過去の成績がいいわけじゃないんですよね……。
山崎先生:これをすすめる理由は2つある。1番大きい理由はおいといて、ここでは2番目の理由から説明しようか。
大橋:はい。
山崎先生:2番目の理由はアクティブファンドよりインデックスファンドのほうが手数料が安いということだね。特にオルカンは世界中に分散して投資できるのに、手数料は年間0.06%程度とかなり安いわけ。
<インデックスファンドを進める理由>
手数料が安い!
大橋:手数料ですか……。
山崎先生:投資信託には2つの手数料がかかる。「販売手数料」と「運用管理手数料」。
大橋:???
山崎先生:難しく考えなくていい。買うときに1度だけ払うのが販売手数料。定期的に払うのが運用管理手数料で、「信託報酬」とも言う。わかりやすく言うと、イニシャルコストとランニングコストだね。
・販売手数料……イニシャルコスト。買うときに一度だけかかる。
・運用管理手数料……ランニングコスト。持っている間、ずっとかかる。信託報酬ともいう。
大橋:それならわかります。
山崎先生:販売手数料(イニシャルコスト)は銀行の窓口じゃなくて、ネットで買うと安くなったり、0円になったりする。実際、さっきの投資信託オルカンはSBI証券でも楽天証券でも販売手数料が0円でタダ。まあ、これは今やネット証券では当然だけどね。
大橋:タダなら気にしなくていいですね……。
山崎先生:もう1つ気にしなきゃいけないのが、ランニングコストだね。これは運用会社が自動的に差し引いてくれるんだけど、手数料は確実に生じる損失だから極力減らしたい。それで、アクティブファンドは1%や2%もするものもあるけど、オルカンは1年に約0.06%。かなり安いから、今後もっといい物がでてきても、まあ、大差ないから気にしなくてもいい。
※ 三菱UFJ国際投信の「eMAXIS Slimシリーズ」は「業界最低水準の運用コストを将来にわたって目指し続ける」とアナウンスしていて、本書を制作中にも他社の値下げに伴い、オルカンの手数料を約0.1%から約0.06%に値下げしました。
まとめ
・投資信託には販売手数料(イニシャルコスト)と運用管理手数料(ランニングコスト)がかかる。
・オルカンは販売手数料が無料、運用管理手数料が約0.06%と安い。
山崎 元
経済評論家
大橋 弘祐
作家/編集者