母親の「娘」と「息子」への意識の差

Mさん:サンプル数は少ないけれど、自分の周りの女性は結構みんな同じことを言っていて。ほら、通販で「今なら2個で1個分のお値段」ってあるじゃないですか。母はそれで2個買って、必ず1個がうちにやって来る。この間もずわいがにが箱で来ました。いらないと言っても押し付けられる(笑)。

編集Y:羨ましい気もしますが、えーと、それは、息子にはあげないと思います?

Mさん:あげないと思います。だって、好きでいてもらいたいから。息子には「好きでいてもらいたいから、愛情の押し付けはいたしません」というぎりぎりの配慮が働くんじゃないかと。

編集Y:へー。

Mさん:母と娘は、たぶん。お互いに「面倒くさい」と思っているんだけれども、どうしても離れられない。愛もあるんだけど、そこに支配も混じっている、みたいな。うまく言えなくてごめんなさい。何でこんな話になっちゃったんですかね(笑)。

川内:いや、結構大事なところだと思います。介護は夫も妻も、そして親も含めた家族のマネジメントじゃないですか。それぞれのメンバーが物事をどう感じているのかを理解できるなら、絶対そのほうがいい。

Mさん:じゃ、調子に乗って続けますね(笑)。(母親に)いつまでたっても支配されている感じ、というのは、中高時代の友達と話していても、ほとんどみんな一致して言っているので、それは似たような感覚なんじゃないかなと思います。しかも、私は名門女子高といわれるところの出身なんですけど。

編集Y:Mさんのこういう無駄な遠慮のない物言い、気持ちがいいですね(笑)。

Mさん:え?(笑)。なので世間一般からいえばわりと「成功した娘」なんですよね。だから母親が「成功した娘を育てた私のやり方は間違ってなかった」みたいな達成感を持っている。

川内:なるほど。自分の支配は正しかった、と、さらにパワーアップしてしまって。

Mさん:それで「私の言うことを聞いていればいいのよ」的な思いをずっと。

編集Y:自信につながっちゃうんですね、Mさんの成功が。

Mさん:いやそれでも、「安定した大企業に入らなかった」ということで、いまだに私、母親に文句を言われているんですけれども(笑)。

編集Y:せっかく私がちゃんと整えてあげたのに、大企業に入れるように育てたのに、と。

Mさん:1カ月ぐらい前にも「この先、ちゃんとした企業に入る気はないの?」と言われて。

川内:えっ。直近の話ですか?