傷ついた相手・落ち込んだ相手に、寄り添おうとしたら…

[図表1]

「ほっといて!」「わかるわけないでしょ!」…まさかの反発に意気消沈

失恋して傷ついている友達を慰(なぐさ)めようとしたら、「私の気持ちなんかわからないでしょ? ほっといて!」

仕事で失敗した後輩をいたわろうとしたら、「そのときのオレの気持ちわかります? どうせオレなんて……」

こう言われちゃうと困ります。じゃあ、どうすればいいの? 「わかるよ」と答えても、「わからない」と答えても、どっちも火に油を注ぎそう。「余計なことしちゃった……」「かえってイヤな思いをさせたかも……」と反省して落ち込むこともあるでしょう。

でも、だいじょうぶです。仮に相手が怒ったとしても、「この人を支えたい」と思ったあなたの優しさに噓はないのですから。その温かい気持ちまで否定しなくてOKです。

これはいわば「事故」のようなもの。ケガしてるネコって、差し出された指にむやみにかみつきますよね。あれと同じで、ごく自然な避けられないこと。周囲が自分より幸せに見えて腹立たしい。だから「上から目線で哀れまないでよ!」と、攻撃モードに入ってしまうのです。ネットの炎上案件も、大抵はこれが原因です。

こんなときは、「少しだけ距離を取る」のがおすすめです。

「わからないでしょ」と言われたら、「わかる」とも「わからない」とも言わずに、「でもさ、あなたが傷ついてると私も辛いよ」とだけ伝えましょう。私はあなたを大事に思っている、ということを「Iメッセージ」で伝えるのです。

そして「続きを話したくなったら連絡して」と伝えてその場を離れましょう。

相手に選択肢を残しつつ、攻撃されない距離でそっと待つ。これがお互いに傷を増やさずに済む方法。キーワードは「ケガしたネコ」です。

[図表2]
かみついてくる人には気持ちだけ伝えて距離を取る。

五百田達成
作家 心理カウンセラー