生活環境の変化などで「住み替え」を検討したとき、所有している物件を“1円でも高く売りたい”と考えるのは当然でしょう。そこで今回、分譲マンションを高値で売却するポイントについて、『60歳からのマンション学』(講談社)より、著者の日下部理絵氏が事例をもとに解説します。
自宅マンションの買い替えを検討する退職金2,300万円の60歳男性「高値で売り抜け」ひと安心…査定額を高めた「不動産会社の助言」【専門家が解説】
反省を踏まえ、ローンは「元利均等返済方式」→「元金均等返済方式」に
キャッシュでもギリギリ買えそうだったが、残りの800万円は住宅ローンを組んだ。借り入れ時年齢61歳、完済年齢は70歳。
今回は変動金利にしたが、金利は以前借りた時の約10分の1であった。また再雇用が確実で元気なうちにより多く返したいため、今回は「元金均等返済方式」にしたが、それでも毎月の返済額は約7万5,000円といままでの約半分である。内訳も利息は毎月数千円程度で金利が安いというのはありがたいものだと感じる。
望んだわけではなかったが…振り返れば「50代で理事になってよかった」
当面、住宅ローンがあるのは不安だが、高値で売却できたこと、金利が安かったこと、買い手が見つかったことなど、加藤さん夫婦はとても恵まれていた。しかも手元に資金を残しておきたい、生活の質は落としたくないという願いもかなえることができた。
何よりあのまま住み続けて、70代で3回目の大規模修繕を迎えるとなるとゾッとする。そういう意味では、あの時期に理事になれたのはとても良かったと圭司さんは思う。マンションは、個々の懐と管理組合の懐、両方が大事なのだと学んだ。
それに、駅からの利便性が良くなると、立ち寄りやすいのか、親が心配になったからなのか、子供たちが頻繁に顔を出すようになったのは2人にとっての嬉しい副産物であった。
ここ数年、何かとお金と向き合うことが多かったが、気力・体力・お金があるうちに駅近の新築マンションに買い替えられ、本当に良かったと圭司さんは思っている。
日下部 理絵
マンショントレンド評論家
オフィス・日下部 代表