医療費と介護費を“合算”して負担軽減が可能

「高額医療・高額介護合算療養費制度」について

医療費と介護費が高額になった場合、いずれも自己負担上限額が定められていますが、両者の支払いが重なれば、それぞれの上限額を支払うだけでも重い負担となることが考えられます。そんなときに知っておきたいのが「高額医療・高額介護合算療養費制度」です。8月から起算した1年間にかかった医療保険と介護保険の自己負担額の合計が上限額を超えた場合に、その超過分が払い戻されます。

[図表4]のように、世帯の所得ごとに自己負担限度額があり、70歳以上のみの世帯で一般的な所得水準であれば、自己負担限度額は56万円です。

※1:対象となるのは1年間(8月1日~翌年7月31日)に支払った自己負担額。 69歳以下と合算する場合は、1つの医療機関につき、1人で1カ月2万1000円以 上の自己負担額が対象。ただし、合算できるのは、公的医療保険からの高額療養 費の給付金や自治体からの助成等を控除した後の金額になります ※2:年収は目安の金額です ※3:介護サービス利用者が世帯内に複数人いる場合は31万円 出典:『図解とイラストでよくわかる 離れて暮らす親に介護が必要になったときに読む本』(角川SSCムック)より抜粋
[図表4]医療と介護の費用負担を合わせて軽減する制度とは? ※1:対象となるのは1年間(8月1日~翌年7月31日)に支払った自己負担額。
69歳以下と合算する場合は、1つの医療機関につき、1人で1カ月2万1000円以
上の自己負担額が対象。ただし、合算できるのは、公的医療保険からの高額療養
費の給付金や自治体からの助成等を控除した後の金額になります
※2:年収は目安の金額です
※3:介護サービス利用者が世帯内に複数人いる場合は31万円
出典:『図解とイラストでよくわかる 離れて暮らす親に介護が必要になったときに読む本』(角川SSCムック)より抜粋

たとえば、1年間にかかった医療保険と介護保険の自己負担分が、夫は52万3,172円、妻は12万5,676円だった場合、合計で64万8,848円となります。そこから、自己負担限度額を差し引いた8万8,848円が払い戻されることになります。

ただし、この制度で世帯合算できるのは、同一の医療保険に加入している家族分のみとなります。夫が後期高齢者医療制度に加入していて、妻が国民健康保険に加入している場合などには合算できません。

制度の利用条件が細かいので、まずは役所の医療保険の窓口やケアマネに相談してみましょう。

※払い戻される例は編集部試算 出典:厚生労働省保険局「高額介護合算療養費制度の見直しについて
[図表5]払い戻される金額の例 ※払い戻される例は編集部試算
出典:厚生労働省保険局「高額介護合算療養費制度の見直しについて

角川SSCムック