前触れなく始まることも多い「親の介護」。いざ始まって痛感するのが、その費用の高さです。介護サービスは1~3割の自己負担で利用できることになっているものの、気づいたら「利用限度額」を超えていた、というケースも少なくありません。そこで、申請すれば費用負担を減らせる公的制度について詳しくみていきましょう。※本記事の情報は、抜粋元の書籍が刊行された2021年7月8日時点のものです。
【知らなきゃ損】親の介護費で家計が火の車…申請すればお金が戻ってくる、積極的に利用したい「国の制度」
医療費と介護費を“合算”して負担軽減が可能
「高額医療・高額介護合算療養費制度」について
医療費と介護費が高額になった場合、いずれも自己負担上限額が定められていますが、両者の支払いが重なれば、それぞれの上限額を支払うだけでも重い負担となることが考えられます。そんなときに知っておきたいのが「高額医療・高額介護合算療養費制度」です。8月から起算した1年間にかかった医療保険と介護保険の自己負担額の合計が上限額を超えた場合に、その超過分が払い戻されます。
[図表4]のように、世帯の所得ごとに自己負担限度額があり、70歳以上のみの世帯で一般的な所得水準であれば、自己負担限度額は56万円です。
たとえば、1年間にかかった医療保険と介護保険の自己負担分が、夫は52万3,172円、妻は12万5,676円だった場合、合計で64万8,848円となります。そこから、自己負担限度額を差し引いた8万8,848円が払い戻されることになります。
ただし、この制度で世帯合算できるのは、同一の医療保険に加入している家族分のみとなります。夫が後期高齢者医療制度に加入していて、妻が国民健康保険に加入している場合などには合算できません。
制度の利用条件が細かいので、まずは役所の医療保険の窓口やケアマネに相談してみましょう。
角川SSCムック