「ワインのテイスティング」と聞くと、豊富な知識やスキルが求められる技というようなイメージを抱く人も多いのではないでしょうか。しかし実際には、ポイントを押さえれば、誰にでも行えるものです。本稿では、Tamy氏の著書『世界一おいしいワインの楽しみ方』(三笠書房)より、自分好みのワインを選べるようになるためのワインのテイスティングの入り口について解説します。
舌全体で味の個性を感じ取る
ワインの外観と香りを観察したら、最後は肝心の味わいをチェックしましょう。
ワインを口に含む1回の量は、10~15ml程度。少量を口に含む程度でOKです。口に含んだワインで、舌全体を包むように広げていきます。味覚は、舌全体で感じるものです。舌先は甘味、舌の横は酸味、舌の奥は苦味を特に感じやすいので、それぞれの箇所にワインが行き渡るように意識してみてください。
テイスティングの際にはプロは「ズルズル」と音を立てることがありますが、これは口に含んだワインを空気に触れさせることで香りや味わいを引き出すための仕草です。
おうちでこっそり試してみるのはいいかもしれませんが、レストランなどではやらないほうがスマートです。
テイスティングでは、口に含んだ第一印象(アタック)の強弱、次に酸味、甘味、渋味、アルコール度、バランス、最後に余韻をとらえていきます。感じる味わいを言葉に置き換える作業は香りと同じく共通語がありますので、下の「テイスティングチェックシート」を使ってどの辺りに当てはまるのか考えてみましょう。
こうすることで、表現力が身に付きますし、飲んだワインの個性を言葉で整理できるようになります。
ワイン全体のバランスを考える
ワインの味わいはバランスが大切です。例えば白ワインの場合、甘味だけ突出していると力強く感じ、酸味が勝つとシャープな印象を受けます。また、甘味と酸味のバランスが取れていると、しなやかで芳醇なワインだと感じます。赤ワインの場合は、甘味とタンニン、そして酸味のバランスが重要になります。
アタック:強い⇐⇒弱い
酸味:シャープな⇐⇒まろやかな
甘味:豊かな・やわらかな・ドライ
渋味:収斂性のある⇐⇒優しい
コク:ボリュームのある⇐⇒ひかえめ
バランス:調和のとれた⇐⇒コンパクトな
余韻:長い9秒以上⇐⇒短め3~4秒