ワインのボトルには「いかり肩」や「なで肩」など、さまざまな形状のものがあり、ボトルに貼られたラベルの記載内容も多種多様です。売り場で色や形の異なるワインを見比べるだけでワクワクするものですが、実はボトルやラベルには、飲まずともワインの味わいを想像できる情報が詰まっているのです。本稿では、Tamy氏の著書『世界一おいしいワインの楽しみ方』(三笠書房)より一部を抜粋し、ワインのボトルやラベルの秘密について解説します。
ワインに最適なボトルのカタチ
ワインボトルの形は産地によって、それぞれに特徴があります。
代表的なのは、いかり肩のボルドー型。フランスのボルドー地方で使用されている主要品種であるカベルネ・ソーヴィニヨンやメルローで造られたワインは、世界中でこのボルドー型のボトルが使われています。
一方、なで肩のボトルはブルゴーニュ型。ブルゴーニュ地方で使用されている品種のピノ・ノワールやシャルドネで造られたワインは、ほとんどの場合このブルゴーニュ型のボトルと覚えておくとよいでしょう。
ワインは光に弱い性質があり、赤ワインのボトルは深緑色、白ワインは熟成型のものや地域によって薄緑や茶色のボトルが使われています。透明なボトルのワインは、フレッシュなうちに飲むタイプのものです。
ボトルサイズごとにフルボトルは750mLで、ハーフボトルは半分の375mLというのはご存知かもしれませんが、それぞれのボトルにはサイズごとに異なる名称があります。この名称は、ボルドー地方とシャンパーニュ地方でも、ジェロボアムとドゥブル・マグナム(いずれも3Lボトル)といったように、よび名が異なるのが面白いところです。
また、大きなボトルになればなるほどお買い得になるのかと思われるかもしれませんが、ワインの場合は逆です。一般的に大きなボトルの方が希少性が高く、高額。大きなボトルは液体量に対し空気に触れる割合が小さくなるので、普通のサイズのボトルに比べてゆっくりと成熟し、よりおいしくなるのです。
ただ、それはボルドーのような熟成型ワインの話で、テーブルワインなどに多いマグナムサイズ(1.5L)は、コストパフォーマンスが高いものです。
ワインラベルからわかること
ワイン売り場に行くと様々なデザインのラベルが並んでいて、ワクワクします。
ラベルは「エチケット」とも呼ばれ、産地や生産された年などワインに関する様々な情報が記載されています。ラベルを見て、どんなワインなのかがわかると嬉しいですよね。アメリカやチリといった「新世界」のワインは、ラベルもシンプルなのが特徴です。
そもそも新世界のワインは単一品種(原料のブドウが1種類)のものが多く、「カベルネ・ソーヴィニヨン」や「シャルドネ」などラベルに品種名が大きく書かれているので、味も想像しやすいかもしれません。ラベルの情報量が少ない分、どんなワインなのかが、すぐにわかるのが特徴です。
一方、「旧世界」とよばれるヨーロッパのワインはラベルも複雑です。国や産地ごとに様々な決まりごとがあり、使われるブドウの品種も限定されているので、そもそも品種が記載されていないことがほとんどです。
フランスのボルドー地方では、【シャトー・ラトゥール】や【シャトー・マルゴー】など、醸造元(造り手)の名前がワイン名になっていることが多い一方、ブルゴーニュ地方は【ロマネ・コンティ】や【シャブリ】など産地名、畑名がワイン名になっています。
またフランスは「AOC」(現在はAOP)、イタリアには「DOCG」など、一定の条件を満たしたワインだけが名乗れるワイン法の品質表示があります。これは新世界の国々にもありますが、フランスのAOCの場合「アペラシオン・ドリジーヌ・コントローレ(AppellationdOrigineControlee)」の真ん中「ドリジーヌ(dOrigine)」の部分に地域名が入ります。そのエリアで収穫されたブドウを使ったワインということを表し、範囲が狭くなればなるほど高級なワインということになるのです。
ドイツワインの格付け最上級ランクである「QmP」はブドウの糖度(エクスレ度)で格付けされており、糖度が高ければ高い程格上。辛口のワインは「トロッケン(Trocken)」、中辛口は「ハルプトロッケン(Halbtrocken)」といった具合に表記されており、ラベルを見ればそのワインの味わいがわかる面白い例です。ラベルの表記は国によって様々なので、ワインショップなどで見比べてみると面白いかもしれませんね。