50代サラリーマン…定年後も仕事にありつけるか、戦々恐々の日々

生徒:先生、私もすでに50代半ばになりました。自分はもちろん、年齢の近い先輩たちも、定年後に能力や経験を生かせる仕事が見つかるのか不安を感じており、しょっちゅう話題にしています。

先生:それほど心配はありませんよ。昔と違って、高齢者を中途採用する企業が増えています。中小企業なら、企業に長く勤めて専門性を高めた人へのニーズが大きいでしょう。専門性があれば、60歳で転職することも可能でしょう。

生徒:熟練工の技術が必要な製造現場の仕事なら「年齢とともに磨かれる専門性」がイメージしやすいのですが、事務職員に蓄積される専門性とはどのようなものでしょうか?

先生:大企業で長い間きちんと働き、管理職まで経験していれば、仕事の計画の立て方・仕事の回し方といったスキルが身についているはずです。ただし、中小企業に転職する場合、大企業と違って部下が少ないため、自分の手足を動かすことも覚悟しなければいけません。

現場を離れて幾年月…長年「管理職」だった人に需要はあるか?

生徒:事務系で手足を動かし続けてきた人はいいですが、長年管理職を続けてきた人はどうでしょう?

先生:管理職であっても、役員や部長クラスのマネジメント層になると転職がむずかしくなります。技術者や営業担当者といった「1人で仕事ができるプロ」として働いている人は、定年後もこれまで通り働けばよいわけです。それに対して、マネジメント層だった人は、他社のマネジメント層での仕事を探す必要があります。

生徒:マネジメント層の人たちが、現場に戻って仕事をすることはできるのでしょうか?

先生:可能だと思います。マネジャーになった経験がある人は、そもそもある分野で専門性を確立しているわけです。マネジャーになり、現場から離れてしまったわけですが、持っている専門性をもう一度武器にして、現場の仕事に再挑戦することもできるでしょう。

生徒:マネジャーから「一兵卒」になるということですね。

先生:そういうことです。しかし、マネジメントの仕事が嫌いだという人も意外と多いのですよ。転職してヒラ社員になっても「マネジメントから解放され、現場の仕事に復帰できる」と喜ぶ人もいるのです。上司が年下というケースもあるでしょうが、部下を評価したり、部門の業績に責任を負ったりすることがなくなります。無駄な会議に出る頻度も減るでしょう。そのような環境を好きになれるかどうかがポイントです。