笑顔のトレーニングで変わる日本初の大実験

「笑顔で明るい毎日をなどと、通り一遍に言われても、もともと性格がネクラだから明るく
なれません」という声を、大学院で担当している学生からも、社会人セミナーの生徒さんた
ちからも言われたことがあります。

そんなみなさんは、「笑顔は難しい」と口をそろえたように言います。

それは、笑顔の意味や表情の大切さを十分に説明されず、しかも表情筋の動きのトレーニ
ングも受けたことがないからなのです。笑顔の大切さの知識があって、正しい手順で訓練を
受けたら、誰だって笑顔も、性格さえも明るく変化できます。

1回90分の表情トレーニングを週2回で3週間、合計6回行なった結果をお伝えします。

MPI診断を用いたテストをもとにトレーニングを開始

多くの人から、「もともと明るくて性格が外向性の人は表情もよく動くけど、気持ちが内向きで内向性の人は表情トレーニングといっても、そもそも乗ってこないでしょう」と言われてきました。そこで、内向性外向性の性格テストも組み合わせて行なった実験です。

性格の内向性と外向性に関しては、モズレーの性格テストMPIを使用しました。

表情トレーニングの開始前の性格テスト時点では、次の2つの予測がありました。

(1)もともと明るい人が表情トレーニングをやったら、さらに明るくなるに決まっている
(2)性格がネクラで表情が暗い人も、トレーニングすれば笑顔が増えるだろう

その結果が次の図表のようになりました。

ネクラが笑顔トレーニングを受けると…驚きの結果

2群のどちらでも、表情トレーニングの効果は同じようにでたのです。「ネクラだから笑
顔トレーニングしても表情は変わらない」ではなくて、前より表情はよくなりました。

暗い人が笑顔トレーニングをしたところ、明るい人の笑顔時間を追い抜いたわけではあり
ませんが、明るい人のトレーニング前の値までは追いつきました。それは素晴らしい変化で
す。

[図表]性格傾向と表情トレーニングの結果

表情トレーニングで使用した質問内容は著者の先行研究により下記7項目としました。

1.常に笑顔が保てる

2.笑顔を心がけることができる

3.自分らしい笑顔ができる

4.変化のある表情ができる

5.人の眼を見て話せる

6.明るい表情ができる

7.うつむき、脇見、首振りなどの不要な頭部の動きをせず、相手に正対できる

出典:佐藤綾子、博士論文P.173 T.3-1-3

「笑顔ができないです」とあきらめるにはおよびません。笑顔を心がけて練習すれば、性格が内向性、つまりあまり対人関係が得意ではない人でも、笑顔を増やすことはちゃんとできるのです。こうして笑顔が増えることで、今度は笑顔が心を明るくしていきます。

外面が内面を引き上げてくれる、という笑顔の自分への「対自効果」です。笑顔っていつからでも、どんな人にも貴重な素質になれることがまさに魅力です。

自信をもって、まずは笑顔になり、明るく生きていきましょう。「ネクラだから」としり込み無用です。ご一緒に頑張りましょう。

佐藤 綾子
株式会社国際パフォーマンス研究所 代表