「60歳で完全引退」が難しい日本。老後生活に不安を抱えている人も多いでしょう。なかには「投資で一攫千金を」と考えている人もいるかもしれませんが、『50代 お金の不安がなくなる副業術』(エムディエヌコーポレーション)著者の大杉潤氏は「叶う確率はほとんどゼロ」といいます。では、失敗するリスクを極限まで減らしながら、投資で資産を増やすにはどうすればいいのか、詳しくみていきましょう。
定年退職金で投資をはじめるなら…メガバンク出身のコンサルタントが「銀行が勧める投資商品はダメ」と言い切る理由
「FIREで早期リタイア」は“机上の空論”
会社員として雇われる働き方にやりがいを感じられない、将来がイメージできない、人間関係のストレスに耐えられないという理由で、「投資で一攫千金を!」という方向に進む人がいます。
株式投資、FX(外国為替証拠金)取引や仮想通貨への投資で大きな資産を作って「億り人びと」(1億円の資産を作った人)になったという話を聞いて、「自分にもできるのでは」と考えて、投資を副業にしようと行動する人はかなりいるのではないでしょうか。
昨今は、FIRE(Financial Independent, Retire Early)がブームのようになっていて、「投資で一攫千金」は合言葉にもなっています。
私の考えは、ズバリ、こういう話は現実にあるかもしれませんが、「再現性がない」ということです。1万人にひとりか、10万人にひとりか、もしかしたら100万人にひとりくらいの、ごくごく例外的な成功談で、すべてが嘘とは言いませんが、あなたが再現できる可能性はほとんどゼロでしょう。
本当に例外的な成功者の陰で、同じチャレンジをして全財産を失ったとか、借金まで抱え込んでしまったとか、投資詐欺に遭ったという人の数の方が圧倒的に多いと思います。
私は、メガバンクで新卒から22年間、金融の仕事をしてきたので、投資で資産形成に成功する人がどういう人かはよくわかっています。
それ以上に、退職金の全額をつぎ込んで投資をし、資産を半分にしてしまった、3分の1にしてしまったという例を嫌というほど見てきました。
資産形成に成功するコツは「副業で稼いだお金を、投資で増やす」
そういう立場から言わせてもらうと、投資そのものを副業とするのではなく、副業や節税によって稼いだお金を、投資によって着実に増やすというスタンスが資産形成に成功するコツです。
つまり、投資を「副業」のターボ・エンジンにして、資産形成を加速させていくのです。こういう考え方であれば、投資はぜひやった方がいいものです。というか、「老後資金を作っていくには投資が必須である」と私は考えて、自ら実践もしています。
もともと投資というものは、余裕資金でやるもので、なけなしのお金や生活資金、教育資金などを使って行うものではありません。
リスクのない投資にリターンは少なく、元本が保障されていてリスクがないのに、ものすごく利回りが高い投資商品があったとすれば、それは間違いなく詐欺でしょう。お金に余裕がなくなると、手っ取り早く増やしたいという欲に付け込まれて、大切なお金を逆に失ってしまうといった詐欺の餌食になりかねません。
投資を副業にするのではなく、副業で稼いだ余裕資金を元手にして、投資でそれを増やしていくという発想で投資に向き合いましょう。