新築マンションの供給は頭打ち…“神話崩壊”のいま、売れ筋は「中古」

一方、近年新築マンションの供給戸数は頭打ちになっている。2011年〜ʼ20年の供給総戸数は105万戸、1年当たりだと平均10.5万戸と計算できる。ʼ06年は20.5万戸、ʼ07年では22.7万戸だった供給戸数を考えると、いまの新築マンションの供給がいかに少ないか、おわかりいただけるであろう。

ここで試算してみたい。これからも同じペースで供給され続けると仮定した場合、2020年からʼ30年までの10年で105万戸の新築が誕生し、2020年の675万戸のストックとあわせて、10年後のマンションストック戸数は約780万戸。このうち築30年以上は、約52%にあたる405万戸と推定できる。

つまり、10年後に分譲マンションを購入しようとすると、2部屋に1部屋が築30年以上ということになるのだ。

日本人の既成概念とされる「新築神話」もまた、崩壊の一途をたどり、マンションを買うなら「築30年以上の中古マンション」というのが一般的になってくる。すでにいま売れているのは新築マンションではなく中古マンションである。

これらのデータをあわせると、築古の高経年マンションに、高齢者が数多く住んでいるのが、2030年のマンション近未来予想図ということになる。建物も人間とともに年を重ね老いていく。これが俗にいう「2つの老い」である。

築古マンションに高齢者が住む…「2つの老い」にどう備えるか

人も建物も老いると、いろいろな問題が起きる。高齢になれば、程度の差はあれど誰もが足腰は弱くなる。部屋内、共用部分ともに段差が多くフラットではないマンションは、自身が住むうえでも辛いし、将来を考えても需要が見込みにくい。

その他にも、段差にスロープなどがなく車椅子の利用が不便、エントランスに車が横付けできない、身体障害者用の駐車場がない、エレベーターがないマンションにいたっては致命的だ。

身体が動かなくなった後、もっと便利なところに引っ越そうと思っても、その頃には気力も減退、年金暮らしで捻出できるお金もないということになりかねない。

マンションもまた、維持するうえで必ず必要になる大規模修繕、そのうち必要になる建て替え問題、賃貸化・高齢化による管理組合役員のなり手不足、管理費等の滞納者の増加、独居高齢者の孤独死など、高経年マンションに関する問題はあげ出したらきりがないし、すでにこれらは深刻な社会問題になりつつある。


日下部 理絵
マンショントレンド評論家
オフィス・日下部 代表