経済評論家の山崎元氏(※)は、「お金を増やしたいなら、銀行には近づかないほうがいい」といいます。銀行には“安心・安全”なイメージがありますが、いったいなぜなのでしょうか。『新NISA対応 超改訂版 難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!』より、その理由について対話形式で詳しくみていきましょう。 ※山崎元氏は2024年1月1日に逝去されました。衷心より哀悼の誠を申し上げます。
銀行員は“羊の皮をかぶった狼”…お金を増やしたいなら「銀行に近づいてはいけない」ワケ【経済評論家が解説】
銀行の「無料相談窓口」は“羊の皮を被った狼”
大橋:でも、よく銀行に資産運用の無料相談窓口があるじゃないですか。あそこで相談するくらいだったらいいんじゃないですか。
山崎先生:それは絶対に行かないほうがいい。
大橋:どうしてですか。この前、銀行行ったときも、ものすごく仕事がデキそうな、スーツを着た男の人が無料相談窓口に座ってましたよ。無料だったらいいじゃないですか。
山崎先生:その窓口の人の給料はどこから出てるかわかる?
大橋:そりゃあ、銀行からじゃないですか。
山崎先生:いや、そうじゃなくて、私が聞きたいのは、その給料はもともと誰のお金かを聞いてるの。
大橋:………。
山崎先生:なんでこんなこと聞くかっていうと、銀行員の給料って高いでしょう。メガバンクなら年収が1,000万を超えてる人もザラにいる。年収1,000万円ということは、日給およそ4万円だからね。そのお金はどこから引っ張ってくるかというと、君みたいな無知な素人だよ。
大橋:………。
山崎先生:しかも、自分のお金を預けている銀行なんて行ったら、クレジットカードの利用状況も、定期預金の満期なんかも把握してる。だから、「いまはお金がないんで……」なんて言い訳も通用しない。
最近の銀行員は証券マン並みに強引に営業していて、やさしく相談するふりをしながら何か売りつけられないか考えてる。銀行の無料相談窓口にいる人なんて羊の皮をかぶった狼だと思ったほうがいい。
大橋:羊の皮をかぶった狼……。
山崎先生:そう。銀行員は人件費が高い。店舗も持っているから高い家賃も払っている。でも、ネット証券なら、店舗も持ってないし、社員も少ないから手数料が安いし、何かを売りつけてくることもない。だから銀行に近づかず、ネットにするの。家電だって店よりもネットで買うほうが安いでしょう(図表2)。
大橋:たしかに……。
山崎先生:ちなみに言っておくと、私は最近まで、楽天証券で働いていたから「自分のためにネット証券を勧めてるんだろう」と言う人がいるかもしれないけど、別に君が楽天証券で取引しなくてもかまわない。合理的に考えて銀行でなくネット証券がいいから勧めているだけ。これちゃんと書いといてよ。
大橋:あ、はい……。
山崎先生:それと、もうひとつ。これを読んでいる読者に、ぜひお願いしたいのは、自分の親とかネットの扱いに不慣れな世代が、お金の運用を始めようとしていたら、ぜひ手伝ってあげてほしい。
ネットが使えないからって、銀行の窓口で手数料が高い商品を買わされたらもったいないからね。
まとめ
・お金を運用しようと思ったら銀行には近づかず、ネット証券を活用する。
・「銀行には個人向け国債以外に買うべき金融商品はない」と覚えておく。