人手不足問題を解消する有効な手段として期待される「アバター接客ツール」。近年ではコンビニや観光ガイド、アパレルショップなどの小売店や施設などで徐々に導入されはじめています。さらに、AI職員を活用した地方創生の新しい取り組みにも注目が集まっていました。ブロックチェーン技術を用いた次世代のネットワーク環境「Web3(ウェブスリー)」など新たなテクノロジーが浸透しつつあるいま、AI搭載アバターと地方創生にはどれほどの親和性があるのでしょうか?
人手不足解消、インバウンド対策まで…地方自治体で導入が進む「AI搭載アバター職員」の可能性 (※写真はイメージです/PIXTA)

地域のPRに「YAKAMIHIME」を活用するメリットとは

鳥取県では、「YAKAMIHIME」の活躍によって日本国内のみならず海外へのPRもおこなえると予想。インバウンドの獲得や県内への移住の推進など、県が抱える社会問題対策および地域活性化に効果的と考えています。

 

なお「YAKAMIHIME」は、AI技術で生成された情報をもとに音声と文章の両方を用いて返答するのが特徴です。県の公式HPによると「鳥取のことを必死に勉強していますが、間違った情報を話すこともありますので、ご注意ください」とユーモアたっぷりに説明しています。

 

実際に「鳥取県の名産品にはなにがありますか?」とチャットで質問してみると、

 

北には日本海、南には大山をはじめとする中国山地の山々が広がり、春には咲き乱れる花々、夏には良質な水質の海水浴場を満喫でき、秋は山々が紅葉に染まり、冬は一面の銀世界が広がる、そんな自然溢れる鳥取県では四季の美しさを間近で感じることができます。都道府県のなかで人口は一番少ないですが、自然が豊かで食べ物もおいしく、私は大好きです!

 

との回答がありました。内容の精度にはまだ改善の余地がありつつも、鳥取県の魅力をアピールしたいという熱意が強く感じられます。

 

また「YAKAMIHIME」は音声入力にも対応しているため、文字入力が苦手な人や身体に障がいのある人でも比較的コミュニケーションがとりやすいシステムといえるでしょう。

地方で広がるAIアバター職員の導入

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

AIを搭載したアバター職員として注目されているのは、「YAKAMIHIME」だけではありません。昨今注目が集まっている「AIさくらさん」も、さまざまな施設やサービスで利用されているAIアバターのひとりです。

 

「AIさくらさん」は株式会社「ティファナ・ドットコム」が取り組んでいるAI事業の一環。接客業務や受付、電話対応など多様なシリーズ展開で、あらゆるニーズに応えることができます。

 

たとえば栃木県の那須塩原市では、市役所を利用する人への施設案内や各種手続きに関する案内役として「AIさくらさん」を導入。市役所の職員の人的リソースをさらに有効活用できるようにすることが目的です。

 

日本語に加え英語や韓国語、中国語の4ヵ国語に対応しているため、市内在住の外国人も市役所を利用しやすい環境作りに役立っています。

 

また新潟県糸魚川市でも、糸魚川駅の観光案内所で「AIさくらさん」が活用されています。糸魚川駅及び駅周辺のエリアに関する観光案内を365日おこなっています。簡単な対応であれば「AIさくらさん」のみが応答し、利用者から複雑な要望があった場合は案内所のスタッフとビデオ通話でつなぐという柔軟な対応も可能です。