医療の進歩や飼い主の尽力などさまざまな要因から、犬の平均寿命はいまや「14歳」といわれています。人間と同じように高齢化が進むなか、犬にできるだけ長生きしてもらうにはどうすればいいのでしょうか。現役獣医師で『愛犬と20年いっしょに暮らせる本 いまから間に合うおうちケア』の著者である星野浩子氏が、「犬の老化の進み方」について解説します。
老化のサイン…8歳ごろからみられる犬の「変化」
では、「プレ高齢期」と「激動高齢期」において、ワンちゃんの体にどのような変化が出てくるのかをあらためて挙げておきましょう。
8歳以上のワンちゃんを飼っている方は、現在の状態と比べてみてください。これから先、ワンちゃんにどんな体調不良が生じてくるか、という心づもりにもなります。
小型犬8歳ごろから見られる変化
・目が白くなりはじめる(白内障がはじまる)
・毛が白くなりはじめる(色が薄くなったように見える。いわゆる白髪)
・太りはじめる、あるいは、やせはじめる
小型犬10歳ごろから見られる変化
・皮がたるむ、あまる
・毛にツヤがなくなる(毛割れ、毛玉、ブラッシングを嫌がる)
・歯周病(口臭がきつくなる、歯石、口の中のネバネバ、膿が出る)
小型犬12歳ごろから見られる変化
・後ろ足や腰が弱ってくる(腰が下がる、すわりこむ、しりもちをつく)
小型犬13歳ごろから見られる変化
・聞こえが悪くなる(呼んでも気がつかない)
・痴呆(ぼんやり、徘徊、迷子、認知障害)
・全体的に元気がない
また、10歳ごろから、心臓、腎臓、気管支や肺などの病気や腫瘍が増えてきます。人間でいえば、生活習慣病が増えてくるのに似ています。
星野 浩子
ほしのどうぶつクリニック 院長
獣医師/特級獣医中医師