高齢期の前に「プレ高齢期」がある犬も

そして高齢期がやってきます。いつからはじまるかというと、犬種による差や個体差があるので一概にはいえませんが、おおよそのところでは、小型犬で10歳くらいが目安になるのではないかと思います。

人間でいえば、50代に入ったあたり。老眼、五十肩、腰痛などが出てくる年代です。ワンちゃんに同じことが起こっても不思議ではありません。

ワンちゃんによっては、それより早く老化のきざしが見えてくることもあります。8歳くらいからでしょうか。8~10歳くらいまでは「プレ高齢期」といってもいいかもしれません(一般に、大型犬は小型犬より老化が早いといえます。以下、小型犬の年齢を基準に述べていきます)。

犬が長生きするかどうかの境目にある「13歳の壁」

つづく10〜13歳くらいまでに、老化にともなうさまざまな変化や体調不良が出てきます。こういった変化に出くわして、とまどうワンちゃんや飼い主さんも少なくありません。これもあれもと、不調がいくつも重なることがあります。

そうなると、体力・気力とともに免疫力も低下して、病気にかかりやすくなったり、病気を悪化させやすくなったりします。いってみれば、10~13歳くらいまでは「激動高齢期」です。

私の診療経験では、「13歳」が長生きできるかどうかの、ひとつのポイントです。「13歳の壁」を乗り越えると、その後はさらに老化は進むにしても、比較的おだやかに過ごすことができます。14歳くらいからは「安定高齢期」という感じになります。

ですから、13歳の壁を越えて長生きするためには、10〜13歳の「激動高齢期」(あるいは8歳からの「プレ高齢期」も合わせて)で、さまざまな変化や体調不良を上手にケアして、根本から健康な体をつくることがポイントになってきます。