医療の進歩や飼い主の尽力などさまざまな要因から、犬の平均寿命はいまや「14歳」といわれています。人間と同じように高齢化が進むなか、犬にできるだけ長生きしてもらうにはどうすればいいのでしょうか。現役獣医師で『愛犬と20年いっしょに暮らせる本 いまから間に合うおうちケア』の著者である星野浩子氏が、「犬の老化の進み方」について解説します。
高齢期の前に「プレ高齢期」がある犬も
そして高齢期がやってきます。いつからはじまるかというと、犬種による差や個体差があるので一概にはいえませんが、おおよそのところでは、小型犬で10歳くらいが目安になるのではないかと思います。
人間でいえば、50代に入ったあたり。老眼、五十肩、腰痛などが出てくる年代です。ワンちゃんに同じことが起こっても不思議ではありません。
ワンちゃんによっては、それより早く老化のきざしが見えてくることもあります。8歳くらいからでしょうか。8~10歳くらいまでは「プレ高齢期」といってもいいかもしれません(一般に、大型犬は小型犬より老化が早いといえます。以下、小型犬の年齢を基準に述べていきます)。
犬が長生きするかどうかの境目にある「13歳の壁」
つづく10〜13歳くらいまでに、老化にともなうさまざまな変化や体調不良が出てきます。こういった変化に出くわして、とまどうワンちゃんや飼い主さんも少なくありません。これもあれもと、不調がいくつも重なることがあります。
そうなると、体力・気力とともに免疫力も低下して、病気にかかりやすくなったり、病気を悪化させやすくなったりします。いってみれば、10~13歳くらいまでは「激動高齢期」です。
私の診療経験では、「13歳」が長生きできるかどうかの、ひとつのポイントです。「13歳の壁」を乗り越えると、その後はさらに老化は進むにしても、比較的おだやかに過ごすことができます。14歳くらいからは「安定高齢期」という感じになります。
ですから、13歳の壁を越えて長生きするためには、10〜13歳の「激動高齢期」(あるいは8歳からの「プレ高齢期」も合わせて)で、さまざまな変化や体調不良を上手にケアして、根本から健康な体をつくることがポイントになってきます。