これから家を建てるなら…「太陽光パネル」&「おひさまエコキュート」の同時導入がお勧めの理由

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これから家を建てるなら…「太陽光パネル」&「おひさまエコキュート」の同時導入がお勧めの理由
写真提供:共感ラボの森

知られざる「日本の住宅とその性能」について焦点をあてる本連載。今回のテーマは「木造の中高層建築物」。脱炭素への取り組みをはじめとした環境意識の高まりで注目を集めていますが、高コストがネックとされてきました。しかし、その流れに大きな変化が生じようとしています。

最も手軽で有効な自家消費率向上策は「おひさまエコキュート」

GX(グリーントランスフォーメーション)推進の流れの中で、住宅においては、太陽光パネルの普及と太陽光で発電した電力の自家消費率の向上が重要であり、住まい手にとっても経済的なメリットが大きいものがあります(関連記事:『売電価格は下落の一途だが…それでも家を建てるなら「太陽光パネル」の設置を勧めるワケ』)。今回は、自家消費率の向上に最も手軽で有効な「おひさまエコキュート」について説明していきます。

 

そもそもエコキュートとは?

「エコキュート」は、ヒートポンプによって空気の熱を利用し、お湯を沸かす家庭用給湯システムの名称です。意外なことに関西電力が商標を持っているそうです。機器本体は、大きく分けて「ヒートポンプユニット」と「貯湯タンク」の2つから構成されます。外気をヒートポンプユニットに取り込み、圧縮して高温にし、この熱で貯湯タンク内の水を温めます。

 

【図表1】

 

もともとエコキュートは、原発の夜間の余剰電力との関係の中で生まれてきた商品です。原発は、昼夜の電力需要に合わせて出力調整をすることはできません。基本的に24時間同じように稼働することが前提です。そのため、どうしても夜間の発電分が余剰になります。そこで生まれたのが夜間電力でお湯を沸かすエコキュートで、深夜電力割引の電気でお湯を沸かすのでお得ですというかたちで普及が進みました。

 

ところが、原発の多くが停止している状況の中で、深夜電力の余剰が概ねなくなりました。一方で、太陽光発電の普及により、昼間の電力の方に余剰が生まれたために、エコキュートの位置づけが変わりつつあります。

 

エコキュートが使っているヒートポンプとは?

意外と「ヒートポンプ」について知らない人がいるようですので、「おひさまエコキュート」の説明に入る前に、まず「ヒートポンプ」について説明しておきます。

 

「ヒートポンプ」は、大気中などの熱を集めて移動させるシステムで、ガスや石油による燃焼させる方式に比べ、エネルギー効率がとても高い仕組みです。電力は熱を運ぶ動力として使い、少しの電力で大きな熱を利用することができます。気体は、圧縮すると温度が上がり、膨張させると温度が下がります。ヒートポンプの中では、熱を運ぶ役割をする冷媒(フロンガスや二酸化炭素など)が「圧縮」による温度上昇と「膨張」による温度低下を繰り返しながら循環しています。

 

暖房や給湯の時には、冷媒の温度が外気より下がった時に空気熱を取り込み、冷媒の温度が上昇した時に熱を放出することにより、空気熱を運んで暖房や給湯に利用しています。冷房時は屋内と屋外が逆になり、熱が取り込まれることにより室温が下がります。

 

【図表2】

 

冷暖房機器のエネルギー効率を示す指標にCOP※(Coefficient of Performance:成績係数)があります。COPは、定められた温度条件での消費電力1kW当たりの冷房・暖房能力(kW)を表したもので、この数値が大きいほどエネルギー消費効率が良く、省エネ性の高い機器と言えます。ヒートポンプの場合、COPが5を超える機器が多くなっています。COPが5の場合、その製品は消費する電力量1に対し5倍の熱を生み出しているということです。

 

電気ストーブや電気温水器などは消費する電力と同じ熱量しか作れないので、COPは最大でも1.0となります。電気ストーブ等に比べて、ヒートポンプが圧倒的に高効率であることが分かるでしょう。

 

ヒートポンプは、エコキュートやエアコンだけでなく、一部の洗濯乾燥機などにも用いられています。エアコンは、電気ストーブやホットカーペットなどに比べて、圧倒的に高効率で省エネであることをぜひ知っていただきたいです。

 

※近年は、COPではなく、APF(Annual Performance Factor)に表示が変わっていますが、本稿ではそこまでは踏み込みません。

 

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