知的障害の診断と判断基準について
知的障害の判断基準
知的障害には軽度・中度・重度・最重度に分かれており、IQ等で分けられます。
・軽度(IQ50~70)
・中度(IQ36~49)
・重度(IQ20~35)
・最重度(IQ19以下)
※専門機関によって若干違います。
またIQ70以下でも適応能力が高ければ、知的障害とみなされないこともあります。
適応能力とは
日常生活・社会生活に必要とされる能力が周りの同じ年齢の人と比較して、どの位、低いのかを基準にしています。具体的にいうと、数量や時間などの概念を理解する能力、対人関係におけるコミュニケーション能力、金銭管理や食事の準備など日常生活を過ごす上で必要となる能力などが挙げられます。
アメリカ精神医学会の『DSM-5』によると、適応能力には、以下の三つがあります。
・概念的領域
記憶、言語、読字、数量や時間などの概念を理解する能力
・社会的領域
対人コミュニケーションなどにおける能力
・実用的領域
日常生活における能力
その3つの能力の中で適切な行動をとるために支援が必要なことが1つでもあれば、適応能力が低い可能性があるといわれています。
知的障害の程度別解説
知的障害者の能力や特性は、個々人の生育歴や環境、療育や教育の成果等にもよるため、一律ではありませんが、一般的に障害程度別の状況は以下のとおりです。
・軽度
支援があれば文字や金銭を理解することができます。買い物・家事等も一人で出来るようになります。意思の疎通はパターン化されている事が多いので、他の人と比べると未熟です。また、記憶・感情のコントロールは苦手です。
・中度
文字や金銭等は小学生レベルであり、常に支援が必要な状態です。買い物・家事等も1人で出来るようになるには時間が必要です。ただ、単純なコミュニケーションは出来ますが、判断や、意思決定をすることが難しいです。
・重度
文字や金銭を理解することが難しいです。食事や身支度などの日常的な行動は継続的な支援が必要です。身振りや、単純な単語・語句を区切ったコミュニケーションは可能です。
・最重度
認識できるものは目の前の物理的なものに限ります。常に支援が必要な状態です。食事や身支度や入浴など全ての行動で支援が必須です。身振りや、単純な単語・語句を区切ったコミュニケーションでも難しいことがあります。