アバターだからこそ広がる自己表現のかたち
現在、メタバースへの参加にはアバターが不可欠です。そして、メタバース内では国籍、性別、年齢など、さまざまな背景を持つ人々が、アバターを通じて交流しています。
言い換えれば、メタバース内でのコミュニケーションは、障がいの有無や性別、年齢など外見から生じる情報が相手に伝わりにくくなるため、余計な差別や偏見がリアルワールドと比較して発生しにくくなります。
これは、自身の外見に自信を持たない人や障がいを抱える人々にとって、精神的な負担を軽減する可能性が高いといえるでしょう。メタバースがもたらす新たな価値として、多様性を尊重したコミュニケーションの場を提供していることが挙げられます。
アバターは性別が異なるものから動物、ロボットなど、自分の好みに合わせて簡単に切り替えることができます。アバターを使用する人々のなかには、現実世界の自分とは異なる性格や人格を表現する人も多く存在します。
これは、私たちが複数のアイデンティティを持つことを許容する感覚に近いと筆者は捉えています。メタバースは、自分の内に存在する異なるアイデンティティを表現する場として活用できるのです。
アバターを通じて自分の代理を形作り、環境を自己のコントロール下においてコミュニケーションをとることは、メタバースが提供する特長的な要素です。この方法を通じて、不安や知覚の異常をある程度コントロールすることが可能であり、他者と安全にコミュニケーションを取りながら、リアルな臨場感を保つことが可能となります。
これらの特長により、メタバースは国籍、性別、年齢などをある程度無視できるため、新たな働き方の可能性が広がります。さらに、自宅からでもメタバース内での接客や案内が可能であり、現実世界では難しい状況にあったとしても、メタバースを通じてやりたいことを実現できる可能性があるのです。