共働き世帯が増えた今、現代の「三種の神器」と言われているのが、ドラム式洗濯乾燥機、ロボット掃除機、食器洗い機です。特にコロナ禍で在宅時間が増え、食事の準備や後片付けの負担が増加したことから、食器洗い機(以下、食洗機)に注目が集まりました。しかし日本における普及率はかろうじて30%を超える程度と低水準にあります。そこで今回は、家事の手間を省くだけではない食洗機のメリットと、最新の進化事情をご紹介します。
食洗機は贅沢品?時間・金額で換算してみたら、じつは「使ったほうが節約」に (※写真はイメージです/PIXTA)

時短・節約のメリットを金額に換算すると

では食器洗いは本当に、人の手で行わなければいけない家事なのでしょうか。家事には主に、その工程に人の創造性が加わる家事と、機械的に行っても結果が変わらない家事があります。前者の代表的なものは料理で、料理を作る人が家族の好みに合わせて味を変えたり、気分によって材料や調味料をアレンジしたりすることで、暮らしの質を上げてくれる家事といえるでしょう。

 

一方、掃除や食器洗いなどは、汚れたものを元の状態に戻す作業であり、基本的に特別な創造性は必要とされていません。適切な手順で行えば、誰が行っても同等の結果が得られるのです。つまり、これらの家事は自分で行う時間がない場合には、優先的に家電に任せてもいい家事と考えることができます。

 

実際に、食器洗い機には次のようなメリットがあります。

 

・使用する水量が大幅に減る
・作業に要する時間が大幅に減る
・手洗いよりきれいになり、除菌効果が期待できる

 

ひとつずつ見ていきましょう。

 

使用する水量が大幅に減る

手で食器を洗う場合、洗剤の泡をすすぐ際に大量の水を使用します。一方、食洗機では、泡立ちが少なく高濃度の専用洗剤を使用し、少ない水を噴水のように循環させて洗浄するため、少量の水で洗うことができます。

 

パナソニックの試算によると、4〜5人分の食器(食器40点、小物20点)を洗う場合、手洗いした場合に使用する水量は約75Lであるのに対し、食洗機(パナソニック NP-TZ300)を使用した場合の水量は約11Lと約6分の1に留まります。さらに、手洗いにはガス代、食洗機には電気代がかかりますが、これらを加味しても、食洗機は1年間で約16,400円の節約になるとしています(1日2回洗った場合)。

 

作業に要する時間が大幅に減る

1回あたりの食器洗いに必要な時間は平均約20分かかるため、1日2回洗うと約40分要します。一方、食洗機は食器をセットするだけなので、1回あたり約5分、1日2回で約10分しかかかりません。つまり1日で約30分、1年間で約10,950分(約182時間)の時間が節約できます。

 

もし食器洗いにかかる時間を仕事に充てて考えた場合、執筆時点での全国の最低賃金平均が時給1,002円であるため、これに当てはめると、最低でも年間182,364円以上の金銭的価値があると考えられます。

 

手洗いよりきれいになり、除菌効果が期待できる

「食洗機は汚れ落ちが信用できない」と思っている人も多いかもしれませんが、実際は手洗いよりきれいになると考えられます。食洗機は、高濃度洗剤と高温のお湯で洗うため、油汚れが落としやすく、除菌効果も期待できますが、手洗いでは手に優しい洗剤と温度のお湯で洗うしかありません。また食器スポンジには雑菌が繁殖しやすいので、しっかり除菌していないと雑菌の付着する可能性もあります。

 

もちろんすべての食器が食洗機で洗えるわけではありませんので、使い分ける必要があります。また食器を並べる前に残りものを取り除く、水流が食器の汚れに当たるように並べるなど、きれいに洗うための工夫も必要ですが、そこさえ気をつければ、ほとんどの食洗機の汚れ落ちに問題はありません。