共働き世帯が増えた今、現代の「三種の神器」と言われているのが、ドラム式洗濯乾燥機、ロボット掃除機、食器洗い機です。特にコロナ禍で在宅時間が増え、食事の準備や後片付けの負担が増加したことから、食器洗い機(以下、食洗機)に注目が集まりました。しかし日本における普及率はかろうじて30%を超える程度と低水準にあります。そこで今回は、家事の手間を省くだけではない食洗機のメリットと、最新の進化事情をご紹介します。
食洗機は贅沢品?時間・金額で換算してみたら、じつは「使ったほうが節約」に (※写真はイメージです/PIXTA)

少人数世帯向け食洗機で若年層を狙う

パナソニックが新たに投入したパーソナルタイプの食器洗い機「NP-TML1」。背面も透明にすることで圧迫感を減らしている。
パナソニックが新たに投入したパーソナルタイプの食器洗い機「NP-TML1」。背面も透明にすることで圧迫感を減らしている。

 

じつは卓上型の食洗機自体は、1990年代に多くの大手家電メーカーから発売されていましたが、普及が進まなかったため次々と撤退していきました。しかし、パナソニックのみが根気良く開発を続けたため、現在でもパナソニックの卓上食洗機がシェアナンバーワンを占めています。

 

一方で近年は、新築住宅のシステムキッチンにビルトイン食洗機が導入されるようになり、ファミリー世帯の需要はビルトインに置き換わりつつあります。そこで今、新たなターゲットとして注目されているのが、少人数の若年層世帯です。賃貸に住む1人暮らしの若年層こそ、家事の時間が足りないため、食洗機の需要があると考えられているためです。

 

NP-TML1のタンク部分。水栓と繋がなくても食洗機が使えるタンク式は、手軽に導入できるとして人気を集めている。
NP-TML1のタンク部分。水栓と繋がなくても食洗機が使えるタンク式は、手軽に導入できるとして人気を集めている。

 

食洗機の普及が進まない理由として、置き場所と分岐水栓問題を挙げましたが、その問題を解決したのが、タンク式食洗機です。従来の食洗機は、水栓に直接繋いで自動給水していますが、賃貸住宅の場合、分岐水栓工事ができなかったり、キッチンが狭くて食洗機が設置できなかったりするパターンがあります。しかしタンク式なら、あらかじめタンクに水を入れておけば水栓がなくても使えるため、電源さえ確保できればシンク周り以外で使うこともできます。

 

若年層に食洗機を普及させることは、長い目で見て食洗機業界に大きなメリットをもたらすと考えられています。前述のように日本は、食洗機を使うことに対して潜在的な罪悪感を持っている人が多く、ファミリー世帯でも購入を躊躇している人が少なくありません。

 

しかし1人暮らしを始めるタイミングで食洗機を使い始め、その利便性を体感することで、食洗機は特別な家電ではなく、日常的な家電としてなじんでいきます。そのためライフステージが変わっても、食洗機を使い続けることになり、欧米のように普及率が高まっていくことが期待されているのです。

 

NP-TML1。食べ終わったらすぐに食洗機に入れる習慣がつくことも、若いうちから食洗機を使い始めるメリットかもしれない。
NP-TML1。食べ終わったらすぐに食洗機に入れる習慣がつくことも、若いうちから食洗機を使い始めるメリットかもしれない。

 

もちろん、今まで自分で食器を洗ってきたけれど問題はない、という人も多く、食洗機は必ずしもなくてはならない家電ではありません。しかし前述のように、手間が省けるだけでなく、水道光熱費の節約や除菌などメリットも多いので、食洗機=無駄遣いという概念を取り払い、また利用したことのない人は一度検討してみてはいかがでしょうか。

 

 

------------------------------------------------------------------------

田中真紀子

家電ライター。早稲田大学卒業後、損害保険会社を経て、地域情報紙に転職。

その後フリーとなり、住まいや家事など暮らしにまつわる記事を幅広く執筆。

出産を経て、子育てと仕事の両立に悩む中、家事をラクにしてくれる白物家電、エステに行けなくても自宅美容できる美容家電に魅了され、家電専門ライターに。現在は雑誌、webにて執筆するほか、専門家として記事監修、企業コンサルタント、アドバイザー業務もこなし、テレビ・ラジオ出演も多数こなす。これまで執筆や監修に携わった家電数は1000近くに及び、自宅でも常に多数の最新家電を使用しながら、生活者目線で情報を発信している。