米国で2021年11月に成立した予算1兆ドル規模の「インフラ投資・雇用法」。EVの充電サービス支援など、モビリティ関連の項目が盛り込まれたことで注目が集まりました。さらに、2024年に発表される最終的な規則には「ドライバーの飲酒を検知し、運転させないようにする機能の搭載を国内で販売されるすべてのクルマに義務付ける」という条項も盛り込まれる見込みです。このアルコール検知の分野で先行しているのが日本の旭化成。今回は、ドライバーの飲酒検知の必要性やアメリカと日本の現状についてみていきましょう。
“運転させてくれないクルマ”?ドライバーの飲酒を瞬時に判断する「最新技術」のいま (※写真はイメージです/PIXTA)

日本でも「アルコール検知の義務化」進む

(※写真はイメージです/PIXTA)
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ここまで、米国のインフラ投資・雇用法と旭化成のアルコール検知技術についてみてきましたが、日本でも道交法改正(道路交通法施行規則の改正)により、主に社用車を運行する事業者を対象に、運転前後のアルコールチェックが義務化されます。一般的に「白ナンバーアルコール検知義務化」といわれている法改正です。

 

当初は2022年10月から開始予定でしたが延期され、2023年12月から施行開始されることになっています。そのため、日本国内でもアルコール検知システムの需要が急激に高まっているのです。

 

アルコール検知義務化の法改正が検討されるようになった背景には、2021年6月、千葉県八街市で小学生の列に飲酒運転をしていた白ナンバートラックが突っ込み、児童5人が死傷した事故がありました。

 

以前から事業者にはアルコールチェック義務が課せられていましたが、その対象はタクシーやトラックなどの緑ナンバーの車両、具体的には有償で物や人を運ぶ事業者に限られていました。しかし千葉県八街市の事故をきっかけに、白ナンバー(自家用車)を5台以上もしくは定員11人以上の車両を1台以上使う事業者に対し、運転前の点呼・アルコールチェックを義務化する形に道交法が改正されたのです。

 

さらに今後、運転前後の運転者に対してアルコール検知器を使用した酒気帯びの確認が義務化されます。これはタクシーやバスの事業だけではなく、営業車などを保有する一般企業も対象です。

 

ちなみに改正されるのは道交法施行規則第9条、暗転運転管理者の義務に関する内容で、下記[図表]の赤字箇所の安全運転管理者が行う業務について変更(追加)となっています。

 

出所:筆者作成
[図表]旧規則と新規則の変更点 出所:筆者作成