マイホーム購入時、多くの人が住宅ローンを利用しますが、夢のマイホームに浮かれ、悪い条件のローンを組んでしまっている人は少なくないといいます。本稿では、住宅購入・住宅ローンのコンサルティングを行う株式会社サンクフル・アイの代表取締役である武政学氏が、住宅ローンの金利負担を減らすための、「借換」という選択肢について解説します。
40代・大企業サラリーマン「私のローン金利、高すぎ?」…住宅ローン〈借換〉を検討すべき基準とは【住宅ローンコンサルが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

大企業勤務・属性は良いが住宅ローンの金利優遇はナシ

今回の相談者は某大手企業に勤務する40代の男性。同世代に比べて給与は高く、夏冬のボーナスもきっちり出ているため生活にはまったく困っていないものの、支払っている住宅ローンの金利が高いと感じているとのことでした。

 

実際どのくらいの金利で借りていたのか聞いてみると、変動金利で2.375%。大企業勤務で属性は良いはずなのに、ほぼ金利の優遇を受けていない状態です。

 

その住宅ローンはマイホームを購入した住宅販売会社に紹介された銀行で契約したものでした。そのときは住宅が購入できればなんでもいいと思っていて、金利のことはそれほど気にはしていなかったといいます。

 

しかし、最近になって何気なく知人と住宅ローンの話をしていたところ、どうやら自分のローンの条件が悪いようだと気づき、借換を検討するようになったとのことでした。

最初のアドバイスは、「いま借りている銀行には内緒で」

相談の概要を聞いて、筆者は次のようなアドバイスをしました。

 

借換を行う場合、いま借りている銀行には内緒で動いてください

 

多くの場合、住宅ローンは30年前後の期間にわたって借りるものですが、期間が長いとそれに伴って銀行の利益である「利息」も増えていきます。

 

借換によって一括返済されてしまうと、銀行は大きな利益を失うことになるため、必死に引き留めるはずです。引き留めを振り払うには手間も時間もかかりますから、元の銀行には知らせず水面下で動くことを勧めたのです。

 

相談者が元の銀行で組んでいたローンの返済額

毎月の返済額:176,939円
返済総額:53,081,712円
利息総額:13,081,712円
(金融計算より試算)

 

借入額4,000万円・金利2.375%・返済期間25年でシミュレーションしてみると、元の銀行は1,300万円ほどの「利益」を受け取ることになります。この大部分を失うことになるわけですから、銀行が引き留めようとするのは当然です。

 

一方で、借りている側が少しでも返済額を減らしたいと考えるのも当然のこと。筆者も「ローンの負担を減らしたい」という相談者の側に立っていますので、諸条件を勘案し「借換をすべき」と判断したのです。

 

ただ、借換先での審査にあたっては、元の銀行の「住宅ローン返済予定表」の提出が必要です。

 

これが用意できないとなると元の銀行に問い合わせることになるのですが、ここでは「借換」などと余計な話はせず、シンプルな言葉で予定表だけを出してもらうようアドバイスしました。