バイデン大統領が2021年に成立させた1.2兆ドル規模のインフラ投資法案のもと、多数の開発プロジェクトが開始されています。しかしその進行に暗雲がたちこめています。みていきましょう。

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大規模プロジェクトが立ち上がるも労働者が不足

バイデン大統領が成立させた超大規模のインフラ投資計画に暗雲が立ち込めています。

 

バイデン氏は2021年11月に1.2兆ドル規模のインフラ投資法案に署名しました。バイデン氏自身が「一世代に一度の」と表現した歴史的な規模の予算は、高速道路、道路、橋の整備、都市交通システムや旅客鉄道網の近代化に加え、清潔な飲料水、高速インターネット、電気自動車用充電ポイントの充実に用いられる計画でした。

 

成立後、数々のインフラ整備プロジェクトが開始されていますが、プロジェクトを請け負う建設業者からは、喜びの声よりも悲鳴が多く上がっている状況です。その理由は、著しい労働者不足です。

募集多数、高待遇でも人材不足は解消せず

建設業界団体である Associated Builders and Contractors (ABC)は、現在進行中のプロジェクト需要からすると、通常の雇用ペースを続けると2023年中に546,000人分の労働力が不足すると試算しています。現在の全米の建設労働者数は約750万人ですから、約7%の不足です。パーセントで表すと小さく感じるかもしれませんが、ABC幹部が「第二次世界大戦中を思い起こさせる」と表現するほどに、現場には混乱が生じています。

 

これに対し、業界もただ手をこまねいていたわけではありません。2022年、業界ゼンタで雇用を前年比17%増やしました。給料も安いわけでもありません。2023年1月時点で、建設業の平均時給は36ドルで、民間産業平均である 33 ドルや、大卒者の標準的な初任給を上回っています。それでも、ABCが建設会社に行った調査では、8割以上の会社が採用に苦労していると回答しています。

 

労働者不足の要因は1つではありません。パンデミック下のレイオフで労働者が減ったこと。その後の賃金インフレで、他業界(建設業界よりも安全で体力消耗が少ない)も賃金水準が上昇していること。同じく労働者不足の製造業(中国との関係悪化で国内製造ムードが高まっている)と人材の取り合いが発生していること。そして、巨額のインフラ投資により労働力需要が急増していること。さまざまな要因が重なって現在の状況に陥っているのです。

移民登用も期待されるが、ハードルは高い

労働力不足に悩む建設会社の打つ手は両極端です。一方は、高待遇で同業他社から人材を引き抜くこと。資金力のある会社は、数千人規模の引き抜きを行うことで、プロジェクトをなんとか進行させています。

 

もう一方は、習熟度が低い代わりに供給量が一定程度ある建設実習生を雇うこと。2021年時点で、全米で20万人の建設実習生が職を得たそうで、2022年はその数がおそらく増加しているだろうと言われてます。

 

また、建設関係者のなかには日本の技能実習生と似たような制度をつくろうと、外国人労働者の一次受け入れプログラムや、H-2ビザ(1年毎更新、最長3年の就労ビザ)の公私要件の簡素化と上限拡大などを含む、移民制度改革を推進する人もいます。国務省によると、ビザ申請済みで面接待ちの人々がすでに40万人以上もいます。たしかに、この一部でも建設実習生になってくれれば、労働者不足は緩和されるでしょう。しかし、移民への対応については政府内でも意見が割れているため、実現は容易ではありません。

 

政府による巨額の投資はアメリカ建設業界を潤わましたが、同時に労働者不足という悩みももたらしました。「一世代に一度の」投資プロジェクトは無事完遂されるのでしょうか?

 

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本記事は、富裕層のためのウェブマガジン「賢者の投資術」(Powerd by OPEN HOUSE)にて公開されたコラムを、GGO編集部にて再編集したものです。

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