ファーストステージが見る大阪不動産の現況と将来性
オリンピックという一大イベントの終了後も、高止まりをキープしている首都・東京の不動産。都内で投資用物件を確保しているに越したことはないが、価格の高さから追加投資を検討しづらい状況が続いている。地震など大型災害への懸念もあり、国内での分散投資を図る手法が一般的だ。候補地として筆頭に挙がるのは、関西圏の中心地・大阪の物件。その現況を伺ってみた。
柴内「2025年に開催予定の大阪万博、そしてIRの誘致先が大阪で決定となれば、その経済効果は大きいでしょう。また現在は『最後の一等地』と呼ばれる『うめきたエリア』の再開発が着々と進行中。ホテルやマンションが建設されているほか、公園も造営されています。鉄道関係に目を向けると、新線の誕生や既存線の延伸も進められているため、住民や観光客の流れはよりスムーズになっていきます。関西国際空港から乗り換えなしで到達できるエリアが増加するため、相乗効果で賃貸需要も活性化していくのは明白です」
伊藤「活況は流入人口にも表れています。周辺地域から大阪市の中心エリアに流入する若年層の人口が増加しているのです。彼らの多くは単身者ですので、手ごろな物件の賃貸需要が高まっていくことが見込まれます。首都圏に比べ大阪の物件はまだまだ安く、月々の支払いは6万~7万円程。家賃相場も同程度で推移していますので、分散投資を検討しやすいのではないでしょうか。特に首都圏在住の投資家の方からはご好評をいただいておりますね」
大阪での不動産投資…勝つための立地は?
不動産投資の成否を左右するのは立地である。物件自体がいくら素晴らしくても立地が悪ければ賃貸付けは難航する。特に単身者向け物件の場合は、立地の選択ミスが致命傷となりかねない。大阪ではどのエリアの物件が鉄板なのか?
柴内「やはり大阪市の中心部を基準に考えていくこととなります。北区、中央区はビジネス街で企業が多い。対してミナミには飲食店やショップが多く、若者の集まる街という特徴があります。賃貸需要はこの3エリアが高い。周辺の福島区、西区、天王寺区にも根強い人気がありますね」
伊藤「大阪市の周縁で、近年人気が高まっているエリアとしては、吹田市の『江坂』が挙げられます。『東急ハンズ*』の盛況が街の活性化に貢献したと言われており、どことなく東京の繁華街を彷彿とさせる魅力があります。また全国から単身赴任で大阪に訪れる人々のベッドタウンとして社宅の多いエリアとなっています。今後、賃貸需要はさらに高まるのではないでしょうか」
*東急グループからの離脱により、2022年10月1日より社名から「東急」が外れ、同年10月26日よりブランド名も「東急ハンズ」から「ハンズ」に順次変更されている
好立地を見極め、物件や土地を仕入れるための秘訣とは
投資家は不動産会社のおすすめの中から、購入物件を検討していくこととなる。それだけに、重圧や責任も大きいのではないだろうか。物件を仕入れる際の基準や着眼点は?
伊藤「基本は中心地に存在する駅から徒歩10分圏内の物件ということになります。資産価値と順調な賃貸付けの両立が適う条件ということですね。とは言え大阪でも、人気が高いエリアでは土地や物件が減少しつつあります。新たな物件に各社が群がることとなりますから、情報が出回る頃ではもう遅い。そこで『すでに取引実績のある業者からどう希少な情報を確保していくか』という仕入れ方を強化しています」
柴内「弊社は大阪で16年の業務実績があり、優良な投資家様との関係を構築してきました。それに伴う販売力を期待し、業者様から物件をご紹介いただく機会が増えています。業者様としては早く物件が売れれば、それだけ早く費用を回収できます。投資家様も次の提案を待っていますから、良い物件情報が集まれば、その期待に応えることができます。良い物件情報が集まる→投資家のみなさまに提案する→業者様・投資家様の信頼がさらに厚くなる→良い物件情報がさらに集まる……まさにこの好循環こそ、他社ではなかなか真似できない弊社の強みなのです」
近年はディベロッパー事業への進出も果たしている、ファーストステージ。しかし土地そのものの仕入れに関しても、同社の基本姿勢は変わらない。資産価値が高く、賃貸付けも容易な物件の条件が不変である以上、大阪市を地盤とした堅固なネットワークを構築維持し続けることこそが「冴えた仕入れ」に繋がる最大の秘訣なのだ。
仕入れた土地に、どのようなマンションを企画するか?
事業主の建設した物件を購入し、区分として販売していくというスキームと並行し、土地仕入れから建設販売、そして管理までを請け負う自社物件を展開し始めたファーストステージ。その企画は、どのように行っているのだろうか。
伊藤「ディベロッパー事業だけで専念するのではなく、しばらく両輪で展開していくことになります。土地を仕入れる際はまず、入念な事前調査を行っておりますね。立地はもちろん、周辺の賃貸物件についても調査を重ね、内容がバッティングしないよう心がけています」
柴内「近年は景気の停滞から、資産運用の必要性を感じる方が増加中。若年層の会社員の方が増加するなど、業界全体の購買層に変化が生まれているようです。そのような中、弊社では柱や梁が建物の外に出るようなアウトポール工法を取り入れるなど、平米数に対してなるべく広く間取りを取るようにしています。また、地震時に閉じ込められることを防ぐために配慮された耐震枠付きの玄関ドアなど、入居者の視点に立って設備を整えるからこそ、入居者が安定して付くのです」
伊藤「居室が狭ければ賃料が下がる分、賃貸付けがしやすくなると思われがちなのですが、広さを求めている人は、必ずいらっしゃいます。コロナ渦で在宅ワークの方、またおうち時間を大切にする人が増加したことも影響しているのかもしれません」
土地や街の個性を鑑み、環境にふさわしい物件を展開し始めたファーストステージ。その確かな物件価値は、大阪での分散投資を検討し始めた富裕層から大きな注目を集めている。