法人にも広がりを見せるデジタルバンク
デジタルバンクの利用は個人ばかりではなく、法人にも広がりを見せています。個人におけるデジタルバンクの利用では、ネット完結可能な銀行取引が多いと考えられます。しかし、法人の場合、営業担当や支店長を含む「手厚い人的対応」が銀行の取引の基本です。融資ばかりでなく、経営上の相談にも乗るのが取引関係の濃い銀行の役割となります。それにもかかわらず、ネット銀行をメインバンクとする企業数が10年で5倍に増えているというのです。
上記のデータは、東京商工リサーチが調査した「ネットバンクをメインバンクとする会社数の推移」です。この調査によれば、リアルタイムの入出金などネット銀行の利便性の高さが、ネットバンクをメインバンクとする企業が増加した背景になっているとのことです。恐らく、「金利や手数料水準などの経済合理性に基づく経営判断の結果」という見方ができるのではないかと思います。
地銀のデジタライゼーションは?
銀行取引のデジタライゼーションの流れについて、こと地域銀行に「進んでいる」イメージを持つ読者は少ないと思います。
事実、日本銀行が地銀77行を対象にDX(デジタルトランスフォーメーション)施策について調査したところ、約6割がテクノロジーを活用した業務プロセス見直し程度に留まっていて、法人向けサービスなどの対応は遅れていることが明らかになりました。たとえば、取引先のデジタル化支援は77行中5行、AIの融資への活用は2行に留まります。
しかし、全ての地銀がDXに出遅れているわけではありません。たとえば北國銀行はDXにおける最も先進的な地銀のひとつで、銀行の基幹システムを根底から見直してクラウド化を果たしました。また、デジタルバンキングの先進事例として福岡銀行(ふくおかフィナンシャルグループ)も注目を集めています。
最近のコマーシャルなどで「名前は聞いたことがある」という人もいるかと思いますが、ふくおかフィナンシャルグループは「みんなの銀行」というネット銀行の立ち上げに成功しました。その取り組みを紹介しましょう。