課題はあるが…「アマゾン薬局」の日本進出により電子処方箋運用の後押しも
患者はもちろん、病院や調剤薬局側にもメリットが多い「電子処方箋」。しかし、課題もあります。
まず、「マイナンバーカード」の普及です。電子処方箋を利用する時は、今回の場合は病院の窓口で、健康保険証として利用できるように登録したマイナンバーカードを使用し、本人確認を行います。マイナンバーカードを所持していない患者でも従来の健康保険証があれば、電子処方箋の活用は可能ですが、従来の健康保険証では過去の診療情報や処方内容まで、医師や薬剤師が確認することができません。
直近の報道ではマイナンバーカードの普及率はまだ67.3%程度(※1)と報じられていますが、国や政府が積極的に普及に取り組んでおり、さらなる普及率の向上を期待しています。
もうひとつの課題は、電子処方箋に対応可能な医療機関が全国で154カ所(※2)と少ないことです。電子処方箋を運用するためには、申請手続きや機器の導入、システム改修などが必要です。また、新しい仕組みを覚えて業務に落とし込まなければなりません。しかし、病院も薬局も、労力の面でも費用の面でも、大がかりな新システムの導入にまでなかなか手が回らないというのが実情なのです。
そのようななか、米・アマゾン(以下、アマゾン)が、処方薬の販売に参入すると報道されています(※3)。通称、「アマゾン薬局」と呼ばれるこのサービス。アマゾン側からの公式発表はまだありませんが、処方薬を流通させるためのプラットフォームを構築するのではないかと言われています。
アマゾン薬局の日本進出は電子処方箋の運用開始が大きな契機になっていることは間違いありません。アマゾンが参入することになれば、ユーザー側からのニーズが高まることで病院や薬局は対応せざるを得ないでしょう。電子処方箋の運用が一気に進む可能性もあると予測しています。