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全米不動産協会が、2023年の全米市場を予想
2022年12月にNAR(the National Association of Realtors:全米不動産協会)が、「On The Horizon:Markets to Watch in 2023 and Beyond:地平線――2023年以降に注目すべき市場」なるレポートを公開しました。
このレポートは、全米の主要な179エリアの市場を分析し、不動産市場が活発になるであろうエリアを決定することを目指したものです。分析には住宅価格の手頃さ、エリア内の雇用状況、移住者の増減、住宅供給など全10項目のデータ(すべて2021年10月から2022年10月の1年間のもの)を使用。独自の選定基準のもと、10エリアが選ばれています。
エリアの有望さを測る選定基準
レポート内では、エリア選定に用いた10の基準も明示されています。
1. 住宅価格が全国水準より手頃であること
家庭の収入の中央値と、中央値価格の住宅のローン借り入れ資格収入とを比較した「House Affordability Index(HAI):住宅取得可能性指数」を算出。HAIが高いほど購買力が強いとみなされます。
2. 中央値の住宅を購入できる賃貸住まいの割合が他エリアより多いこと
すでに家を持っている人の住み替えでは、市場内の住宅保有総数は増えません。そのため、市場の活気は賃貸人が住宅所有者になることができるかどうかにかかっています。
3. 雇用の増加率が全米の水準より高いこと
雇用が強いエリアは住民の収入が増えやすく、また人口増加にもつながります。いずれも、購買力を高める要因です。
4. IT産業の雇用の伸び率が、全米水準よりも高いこと
特定の産業のみに注目するのは日本人の感覚からすると違和感があるかもしれません。しかし、アメリカではIT産業は特に高給な仕事であることで知られ、給与水準は他産業平均を50%ほど上回ります。IT産業従事者が増えることは、購買力増に直結するのです。
5. エリア内GDPに占めるIT産業の割合が他のエリアより高いこと
上記4と同様の理由です。
6. 移住者数(転入者-転入者の数)が増加していること
転出者より転入者が多いことは、エリア内の人口が増えていることを意味するのはもちろん、エリアの魅力の証明にもなります。
7. 在宅勤務者の割合が高いこと
在宅勤務可の企業が増えているため、在宅勤務者に支持されるエリアはより需要が増し、そうでないエリアは需要が減っています。
8. 人口増加率が全米の水準よりも高いこと
人口増は住宅需要の最も基本的な要因だからです。
9. 住宅在庫数が全米の水準よりも早く増えていること
住宅を買う資金繰りができても、ほしい物件がなければ家は売れません。在庫が増えることで買い手の選択肢も増えるため、取引が促進されます。
10. 住宅不足が他のエリアよりもマシなこと
上記9と同様です。在庫が増えていることに加え、需要に見合う在庫数が確保されていることが重要です。
ランクインした10エリアはすべて南部
上記の10の選定基準を踏まえて選ばれたのが、以下の10エリアです。
1. ジョージア州 アトランタ
Apple、Microsoft、Visa などのテクノロジー企業がオフィスを開設しており、堅調な雇用市場があります。 アトランタ周辺は、国内の他の地域に比べて比較的手頃な価格のままです。賃借人の20% 以上が、この地域で中央値の家を購入する余裕があり、全国平均の15.1%を大きく上回っています。
2. ノースカロライナ州 ローリー
テック産業が急成長しており失業率も低いローリーは、2020年以降、住宅価格が約30% 上昇。住宅価格の中央値は50万ドル近くで、選出された10エリアの中で最も高価です。 しかし、地元関係者によると住宅価格は2022年の夏をピークに下落しはじめており、住宅在庫も過去12か月で188%増加しているようです。
3. テキサス州 ダラス
ダラス フォートワースは、ローリーと並ぶ新興テックハブで、2022年10月の雇用数は全米平均のほぼ 2 倍を記録しました。NARのデータによると、全国平均よりも住宅在庫が増加しており、アクティブなリストの数は全国平均の3倍ほどに達しています。
4. アーカンソー州/ミズーリ州 ※2州を跨ぐエリア フェイエットビル
フォーチュン 500 企業のうち 3 社 (ウォルマート、タイソン フーズ、JB ハント トランスポート サービス) の本拠地が位置するこのエリアは、今回のランキングのなかでアラバマ州ハンツビルに次いで2番めに手頃な住宅価格を誇ります。 人口増加率も年間2%で、全国平均の 0.01% を大きく上回っています。
5. サウスカロライナ州 グリーンビル
住宅価格の手頃さは全米平均と同等で、その点はあまり魅力的ではありません。しかし、IT分野での雇用の伸びが非常に力強いことで注目を浴びています。2022 年の住宅供給量は全国平均の2倍以上だったため、物件の選択肢が多いのも強みです。
6. ノース サウスカロライナ州 チャールストン
チャールストンエリアは今回のランキングのなかでは住宅価格の中央値が高く、ローリーに次いで 2 番目です。住宅価格の手頃さの面でも全米平均を下回っています。 しかし、全国平均のほぼ2倍の雇用増があり、移住者も大幅に増加しているためこの順位となりました。
7. アラバマ州 ハンツビル
ハンツビルはアラバマ州で最も人口の多い都市です。ランキングの中で住宅価格の手頃さではトップで、賃借人の30%弱がエリア内の中央値価格の物件を買う余裕があります。これは全米平均のほぼ2倍です。
8. フロリダ州 ジャクソンビル
フロリダ州はパンデミックをきっかけに移住者が急増した州として知られます。ジャクソンビルも同様で、急激な人口増の結果、住宅価格は2020年初頭から約58%上昇しています。それでもマイアミ等の州内の他エリアと比べると圧倒的に手頃で、人気は衰えていません。
9. テキサス州 サンアントニオ
住宅価格が安価なサンアントニオは、住宅価格と生活費が高くなりがちなカリフォルニア州からの移住者が急増したエリアです。オースティンを中心にテキサス州内からの移住者が多いことでも知られています。
10. テネシー州 ノックスビル
ノックスビルの人口は2021年から2022年の1年間で1.3%増加し、2007年以来最大の総人口で増加しました。好調の要因は主に、住宅価格の手頃さによるものです。住宅価格はパンデミック中に急騰しましたが、それでも賃借人の4分の1近くが、中央値価格の住宅を購入できる水準です。
以上、10エリアはすべて南部に位置します。パンデミック以降の都市から郊外へ、北部から南部へのトレンドは2023年も続きそうです。