本稿は、テック系メディアサイト『iX+(イクタス)』からの転載記事です。我々の生活に比較的身近なテクノロジーについての紹介・説明記事や、よりよい体験をもたらすためにテクノロジーを用いているモノやサービスについての情報を発信しています。第2回目は昨今、急速にシェアを拡大している、電子契約サービスや「オンライン融資」などのフィンテックサービスについて。また、それらの新技術が社会全体へどんな影響をもたらすのか? について解説します。
電子契約技術とAI審査を組み合わせた「オンライン融資」で、変わりゆく金融業界 (※写真はイメージです/PIXTA)

フィンテックとは?

フィンテック(Fintech)とは、金融(Finance)と技術(Technology)を掛け合わせた造語で、金融サービスとIT技術を組み合わせて提供されるサービスのことです。現在、利用できるフィンテックサービスは非常に幅広く、多岐にわたります。

 

例えば、私たちが日常的にモノやサービスを購入した際に行うクレジットカード決済。フィンテックという言葉が一般的に流通する前から生活に根づいている決済方法ですが、代表的なフィンテックの一つと言えます。

 

現在はクレジットカードや電子マネーをアプリケーションに登録する、バーコード・QRコードを読み込むことで、スマートフォン一つでキャッシュレス決済を行うことが可能となり、ますますその利便性が高まっています。

 

そのほか、代表的なフィンテックサービスであるオンラインバンキングやインターネットバンキングは、銀行の窓口に行かずに口座を開設し、金融取引を行うことが可能です。証券会社が提供しているサービスを利用すれば、株式売買などの証券取引を、インターネット上で完結させることができます。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

電子契約サービスとは?

フィンテックは、消費者(個人)と企業間だけでなく、法人と法人、法人と個人事業主間の取引においてもまた、欠かせない存在です。その代表的な例の一つに電子契約サービスがあります。

 

従来、契約を締結するためのすべてのプロセスには書面の取り交わしが必要でしたが、電子契約サービスはそれをウェブ上で完結することができるシステムです。電子契約サービスを導入することで、書面の取引に必要な作業、書類の印刷、製本、押印、郵送、場合によっては契約相手のところへの往訪などの作業を省略し、作業効率化に役立ちます。

 

また、日本は印紙税法が制定されているため、契約書を作成する際には「印紙税を納め、収入印紙を貼付しなければならない」義務が生じます。契約内容に含まれる金額が高額であればあるほど、印紙税額も高くなりますが、電子契約の場合、この印紙税が課されないというメリットがあります。

なぜ電子書面には印紙税がかからないのか?

なぜ電子契約(電子書面)には印紙税が課されないのでしょうか。それを検証するためにまず、印紙税が課される理由を確認してみましょう。

 

契約書類に印紙税が課される理由
“印紙税は、文書の作成行為の背後にある経済的利益、文書を作成することに伴う取引当事者間の法律関係の安定化という面に担税力を見出して課税している租税であり、税体系において基幹税目を補完する重要な役割を果たしている。”

(引用元:国税庁ウェブサイト「最近における印紙税の課税回避等の動きと今後の課税の在り方」)

 

すなわち、政府は「経済的利益」と「法律関係の安定化」という2点から、契約書類に担税力を見出していることが分かります。

 

では、内容そのものは同じであるにもかかわらず、記されているメディアが紙か? デジタルか? と異なるだけで、電子書面の契約に印紙税が課されないのはなぜなのでしょうか?

 

電子書面に印紙税が課されない理由
“第44条 法に規定する課税文書の「作成」とは、単なる課税文書の調製行為をいうのでなく、課税文書となるべき用紙等に課税事項を記載し、これを当該文書の目的に従って行使することをいう。”

(引用元:国税庁ウェブサイト「法令解釈通達、第7節 作成者等」)

 

つまり、契約文書の「作成」と「調製」は違うと法律は解釈しています。コピー用紙ではなく、電子メディアに契約内容をまとめるという行動は、「契約文書の調製」であり「契約文書の作成」とは同じ行動ではないということです。

 

別の言い方をすると、もし電子メディアにまとめた契約内容を、コピー用紙にプリントアウトしたうえで相手先に交付したならば、たちまち課税対象になるということです。