掲示板に寄せられた批判の声…「イセ食品事件」の実際
融資型クラウドファンディングサービス「Bankers(バンカーズ)」を運営する株式会社バンカーズ。前回(※)、ファンドの組成においてバンカーズがいかに抜かりのない保全措置を講じているか、具体例を紹介した。今回は別の角度から、バンカーズの安全性へのこだわりがわかる事例を紹介する。
※前回記事:Bankers(バンカーズ)の「融資型クラウドファンディング」が投資家にとって〈安心〉な理由
バンカーズは2021年7月、「森のたまご」や「伊勢の卵」で知られる鶏卵業界では有名なイセ食品株式会社を借手として、「伊勢の卵 Next Century サポーターズ ファンドI」と「伊勢の卵 Next Century サポーターズ ファンドⅡ」の募集を行った。
しかし、イセ食品の事情により、「ファンド I」 は運用開始後融資実行前に全額を償還し、「ファンドⅡ」については募集期間中に募集中止・不成立となった。
その後、2022年3月、イセ食品はグループ会社で飼料販売を行うイセ株式会社とともに、東京地方裁判所から会社更生手続開始の申し立てがなされると同時に保全管理命令を受けた。
こうした事態を受け、投資家が集まるネット上の掲示板には、「実際にファンドが成立して運用していたら出資金はどうなっていたのか」というような疑問の声が書き込まれた。
しかし、バンカーズの動きは早かった。イセ食品が会社更生手続開始を申し立てられた4日後に、「イセ食品株式会社の会社更生手続開始に係る当社見解について」というニュースリリースを発表している。
澁谷剛社長は、「投資家の方々のご批判や疑問にお答えするために、当社としてもきちんと説明する責任、義務があると考えました」とその理由を述べる。
澁谷氏「詳細については同リリースを読んでいただきたいのですが、要は今回の会社更生法適用という最悪の事態においても、当社は融資金を全額回収できるスキームを構築していたことを、法的な裏付けに基づき説明する内容になっています」
具体的にどのようなスキームだったのか。澁谷社長は次のように概要を説明する。
澁谷氏「当社はイセ食品の持つ売掛金債権を担保にして融資を行うことにより、イセ食品になにかあった場合にも、約750社の販売先などが倒産しないかぎり、売掛金債権で融資金を回収できるスキームをつくっていました」
実際、2つのファンドが成立していた場合、運用期間は1年なので、ファンドの運用中にイセ食品は会社更生の申し立てを受けたことになる。
澁谷氏「この場合、通常はデフォルトになり、投資家に資金を返済できない事態に陥ります。しかし、先ほど述べましたように、当社は融資実行条件として必要かつ十分な保全措置を講じていたので、会社更生手続開始等の法的整理の開始決定があった場合でも、融資金は全額回収できていたものと考えています。
つまり結果的に、リスクを正しく理解し、そこに対してヘッジをかければ、抜かりのない保全性の高い商品がつくれるという証明になりました。」
このニュースリリースを発表したことで、ネット上でも「すぐにこういう内容を発表をするのはさすがだ」「きちんとしている」など好意的な反応が寄せられたという。
独自のスキームで差別化を図る…バンカーズの「強み」
融資型クラウドファンディングサービス「バンカーズ」は2020年にスタートした後発組だ。しかし、これまでみてきたように徹底した情報公開や、周到な保全措置を図った独自のファンド組成のスキームで、他社との差別化を図っている。
実際、そうした取り組みが奏功し、バンカーズは著しいスピードで成長している。専門サイト「ソーシャルレンディング投資の学校」の、取材時における直近3ヵ月(2022年6月21日~9月20日)の「ソーシャルレンディング各社の募集額ランキング」を見ると、バンカーズは3位につけている(月平均募集額14.6億円)。
また、別の専門サイト「けにごろうのはじめてのソーシャルレンディング日記」によると、「ソーシャルレンディングサービス2021年貸出額ランキング・シェア」で、バンカーズは11位となっており、前年2020年の31位から大幅に飛躍している。
澁谷社長は、「当社の昨年の実績は11位でしたが、業界トップだったSBIソーシャルレンディングを買収したことで新たに約6万5,000人の会員を迎え入れ、一気に規模拡大しています。今年は2位が視野に入ってきました」と自信をのぞかせる。
澁谷氏「当初からのお客さまは投資の初心者が中心なのに対して、旧SBIソーシャルレンディングのお客さまは投資経験の豊富な方が多く、ファンドの中身をしっかり見ていらっしゃいます。そうしたお客さまにも理解、納得していただけるような情報を提供する義務があると考え、相互のコミュニケーションを深めていきたいという思いがあります」
今年は業界2位につけたうえで、来年トップの座を狙うと言明する澁谷社長。
澁谷氏「来年は業界ナンバー1となって、ゆくゆくはIPO(新規株式上場)を目指したいと考えています。
ソーシャルレンディング業界は、これまでトップ企業が相次ぎ不祥事を起こして消えていきました。それではいつまで経ってもソーシャルレンディング業界は投資家から信頼を得られません。
私たちはソーシャルレンディング業界では最も後発ですが、着実に実績を積み上げ、業界全体の信頼を高め、ソーシャルレンディングが資産運用の一手段として一般化する世界を創らねばならない、という責務があると考えています。ですからIPOをひとつのステージと見据えて挑戦してゆくことを大切にしたいのです。」
※本記事はBankersでの投資勧誘を目的としたものではございません。ファンドへの出資にあたりましては、Bankersにおける各ファンドの詳細ページをご確認 いただき、出資のご判断をお願いいたします。
※Bankersで取り扱うファンドは、元本が保証されているものではなく、欠損が生じる可能性があります。各ファンドの条件およびリスクの内容や性質の詳細は、商品毎に異なりますので、Bankersにおける当該ファンドの契約締結前交付書面等をよくお読みください。