(※画像はイメージです/PIXTA)

ロシアによるウクライナ侵攻が、8月30日時点でもなお続いています。3月4日にロシア軍が制圧した「ザポリージャ原発」。原発への攻撃は国際法で禁止されており、ロシアのこの行動は大きな批判を浴びました。原発周辺での攻防は、周辺国にとっても大きなリスクとなりえるもの。今後、ウクライナ戦争はどうなるのでしょうか、みていきます。

ヨーロッパ最大の原発周辺が戦場に

ヨーロッパ最大、世界でも3番目に大きな原子力発電所であるザポリージャ原子力発電所周辺ではウクライナ軍とロシア軍の攻防が続いています。

 

同発電所は、ウクライナ侵攻がはじまってまもない3月4日にロシア軍によって武力制圧され、現在もロシアの支配下にあります。メルトダウンや放射性物質の流出を防ぐ観点から、原発への攻撃は国際法で禁止されており、ロシアのこの行動は大きな批判を浴びました。しかし、当のロシアは批判に向きあわず、ロケットシステムを持ち込むなどして原発の要塞化を進めています。

 

ウクライナにとっては、国内の電力供給の5分の1を賄う重要施設。いまなお多数のウクライナ人職員が働き続けていることもあり奪還を進めたいところですが、ロシアも譲らず。互いの軍事行動を非難し合う状況が続いています。

解決の糸口は「国連による仲介」

大規模な原子力発電所の事故は国際的な被害をもたらすことから、IAEA(国際原子力機関)が仲介に着手。戦火のなか、原発の査察に出向いていますが、ロシアからの許可が得られず、いまだ立ち入りができていない状況です。

 

IAEAのラファエル・グロッシ代表は、査察の実現は「非常に近い」ところまで来ていると述べており、一刻も早い査察が待たれます。

 

一方で、査察を前にして原発職員に対する圧力の高まりが危惧されています。ザポリージャ原子力発電所の運営を担うウクライナの国営企業・エネルゴアトム社は、「(現場の職員に対する)圧力を強められ」、「原発を軍事基地として使っている占領者(ロシア軍)の犯罪についての証言をもみ消すよう」に求められたとテレグラム上で声明を発信しています。

 

当事者のみならず、周辺国にとっても大きなリスクとなりえる、原発周辺での攻防。仲介が実ることを期待せずにはいられません。
 

本記事は、富裕層のためのウェブマガジン「賢者の投資術」(Powerd by OPEN HOUSE)にて公開されたコラムを、GGO編集部にて再編集したものです。