目指すは不動産DXのトップランナー
当社は2020年、新規事業として不動産クラウドファンディング「Good Com Fund(グッドコムファンド)」を本格的にスタートさせました。不動産クラウドファンディングとは、インターネットを通じて、不特定多数の人が小口で資金を提供し、出資者は、ファンド運営者から運用収益に合わせて分配金を得るというものです。
当社が不動産クラウドファンディング市場に参入した最大の理由は、今後の成長に向けたDX(デジタル・トランスフォーメーション)戦略の一環としてです。当社の長嶋義和社長が常に問題意識を持っているのは、デジタル社会が急速に進展する中での不動産業のあり方です。不動産業界は非常にアナログ色の強い業界です。いまなお対面で印鑑を押して、契約書を取り交わすなど、デジタル化が他業種に比べて遅れています。
しかしながら、不動産業も今後は100%電子取引になるだろうというのが長嶋社長の見解です。ただ、いきなりすべての取引を電子化するのは困難ですし、事故や事件が起きる可能性もあります。そこで業界に先駆けて当社がいち早くDX戦略の中で不動産クラウドファンディングを成功させ、不動産業界での電子取引の先鞭をつけたいと考えています。
相続対策ができる任意組合のファンド
一方で現在、不動産クラウドファンディング業界は混乱しています。市場として新しいため、投資家の認知度、理解の点で多くの課題があると認識しています。特に不動産クラウドファンディングの「匿名組合型」と「任意組合型」の2種類の違いが十分に理解されていないことが最大の問題だと考えています。
不動産クラウドファンディングの多くは匿名組合型ですが、当社の「Good Com Fund」は任意組合型です。匿名組合型と任意組合型にはどのような違いがあるのか、簡単にご説明します。
匿名組合型は、資金提供者はそのファンドに出資するのみで、不動産の所有者はファンド運営者になります。出資者はファンド運営者から分配金を得るだけの関係です。そして、分配金は「雑所得」の扱いになり、節税効果はありません。
一方、任意組合型は、出資者は不動産をファンド運営者や他の出資者と共同で所有することになります。出資した権利分になりますが、出資者には不動産の所有権があるのです。そのため定期的に得られる分配金は「不動産収入」となり、相続税・贈与税対策になります。しかしながら、当社の不動産クラウドファンディングは1口10万円と小口のため、投資家の方々は匿名組合型と勘違いされるケースが少なくありません。
つまり、投資家が「Good Com Fund」に出資いただくと、不動産の所有権を有することができ、路線評価と建物評価の圧縮で約70%程度まで相続税評価額を圧縮、さらに小規模宅地の特例を利用すると相続税評価額約80%前後も圧縮できる可能性があるのです。
「Good Com Fund」はあらゆるニーズに対応
たとえば、現金1000万円で「Good Com Fund」を100口(1口10万円)購入したとします。その時点で相続税評価額は8割減になりますから、課税対象額は200万円になります。実際に相続する際に、現金だと1000万円にまるまる課税され、税額は約80万円になりますが、課税対象額が200万円だと、課税額はほぼゼロです。
また、不動産の非同一性という問題に対する解の一つにもなります。不動産の非同一性とは、同じ不動産は世の中に一つもないというものです。たとえば、同じマンションの同じ間取りの部屋でも価値は同一ではありません。エレベーターからの距離、日当たりなどがまったく同じであることはあり得ないことなどや、賃料収入が原資であることを考えると入居条件や賃料を永遠に同じくすることは難しいと考えられるからです。
そうすると親が同じマンションで2戸の投資用ワンルームを娘と息子のために買った場合、相続の場面で争いが起きる可能性が高くなります。平等性が損なわれるからです。その点、「Good Com Fund」で100口購入した場合、50口ずつ贈与すれば同一の権利になり、平等性が担保されます。
当社が不動産クラウドファンディング「Good Com Fund」を立ち上げた理由として、DX戦略の一環であると述べました。それ以外にも理由があります。
1つは、1口10万円と最低投資額を小さくすることで、より多くのお客さまに不動産投資を行っていただきいという狙いです。たとえば、当社の投資用ワンルームマンション「GENOVIA」シリーズは平均価格が3000万円ですから、購入したくてもできない方がいらっしゃいます。または何らかの事情で住宅ローンが組めない方や、そもそもローンを組むこと自体に抵抗を持つ方もいらっしゃる。「Good Com Fund」はそういうお客さまのニーズにお応えすることができます。
若い世代にも経験してほしい不動産投資
もう1つは、「Good Com Fund」は相続対策に有効なファンドですが、若い世代の方にも不動産投資を経験してもらいたいという考えがあります。将来のお客さまの育成が目的です。不動産を所有するという体験は人生に何度もありません。それを若いうちから、しかも少額で体験できます。
周知のようにコロナ禍で若い層の投資熱が高まりました。実際、当社にも若い方からの問い合わせが増えており、なかには学生もいます。たとえば個別株に投資した場合、最悪、価値がゼロになる可能性があります。しかし、不動産は価値が下がったとしても、所有権がなくなることはありません。有形資産というのは大きな強みです。
もちろん、不動産クラウドファンディングも不動産投資ですからリスクが伴います。ただ、「Good Com Fund」の投資対象は、すべて自社ブランドの「GENOVIA」です。第1回でご紹介したように「GENOVIA」は非常に高く評価されています。実際、不動産投資リスクの中でも最も大きな空室リスクを見ると、現在のトータルの空室率は2%、つまり入居率98%をキープしています。運営会社であるグッドコムアセットは東証プライム市場に上場している点も大きな安心感につながっているのではないかと思います。
不動産クラウドファンディング市場は混乱状態にあると私たちは認識しています。特に匿名組合型と任意組合型の違いが投資家の間で十分に理解されていないようです。「Good Com Fund」は任意組合型で、小口投資でありながら不動産の所有権があり、相続税対策に有効であるということを、投資家の方々に広く知っていただくことが当社の使命だと考えています。