(※画像はイメージです/PIXTA)

不動産(property)とテクノロジーを組み合わせた「プロップテック」と呼ばれる企業が今、世界中で誕生しており、不動産領域における新しいチャレンジに取り組んでいます。アメリカのプロップテック企業の中でも要注目の企業をみていきます。

手軽に家を借りられる賃貸物件プラットフォーム

◆Zumper(ザンパー)

2012年にカリフォルニア州サンフランシスコで創業したZumper(ザンパー)。

 

「We create opportunity for everyone to make a fresh start.(すべての人に新しいスタートを切る機会をつくる)」を企業パーパスに掲げ、北米の賃貸情報を発信する不動産情報プラットフォームを運営しています。

 

大きな特徴は、物件を借りる際の手軽さ。契約にあたって必要な情報や書類を事前に登録しておけば、それ以降はワンクリックで賃貸申し込みが完了し、支払いもZumper上で行えるなど、家を借りるにあたっての煩わしい手続きから解放してくれるのが大きなメリットです。

 

ZumperのCEOは過去に「私たちは1年借りのAirbnb(エアビーアンドビー)になりたい」と発言しており、その言葉通り、まるでホテルに泊まるような感覚で物件を借りることができる手軽さを実現しています。

 

ユーザーはLong-term(6ヵ月以上)、Monthly(30日以上、6ヵ月未満)、Vacation(30日未満)の3カテゴリーから好みの物件を探すことができ、また不動産オーナーにとっても保有物件の稼働・回転率を上げられるため、借り手と貸し手双方にメリットが大きなサービスとなっています。

建築現場の進捗をリアルタイムで管理できる

◆HoloBuilder(ホロビルダー)

続いて紹介するのが、カリフォルニア州サンフランシスコで2015年に創業した「HoloBuilder(ホロビルダー)」。建設現場で撮影した360°写真を整理・共有するクラウドサービスを提供しているスタートアップ企業です。

 

建築現場の施工過程で撮影した360°写真を、間取り図と紐付けてアップロードできるのがコア機能となっており、撮影や操作も簡単なため、現場作業員の負担が少ないのもメリットとなっています。

 

建設現場の最新の状況が常にアップされることで、不動産会社や施主は各部の進捗をリモートで確認でき、またスケジュールや予算、文書等も同一プラットフォーム上で管理できるため、建築プロセス全体の効率化にもつながるサービスです。

 

現在、世界各国で利用企業が増えており、竹中工務店といった日本の大手ゼネコンも技術開発で連携を行なっています。現状では大規模施設の施工現場が導入のメイン対象となっていますが、今後コストが下がれば、一般住宅の現場でも利用が進む可能性が期待できます。

商業不動産に特化したCRMツールを提供

◆Ascendix Technologies(アセンディックス・テクノロジー)

1996年創業、テキサス州ダラスに本社を置く「Ascendix Technologies(アセンディックス・テクノロジー)」。もともとは不動産系の企業ではなく、さまざまな業界の企業にCRM(顧客関係管理)コンサルティングを提供している企業です。

 

そんな同社がプロップテック企業として注目されるようになったきっかけが、2007年にリリースした商業不動産用の垂直統合ソフトウェア「RealEstate Advantagev1」。リリース以来、同製品のアップデートや新製品のリリースを続け、現在は商業不動産関連ソフトウェアを17製品保有するなど、プロップテック企業として大きな存在感を示しています。

 

同社の製品はSalesforceやDynamics365といったメジャーなCRMツールと接続可能なことや、製品を組み合わせることで不動産ビジネスに関わるあらゆるプレイヤー(テナント、オーナー、投資営業マン、ローン仲介人、土地仲介人、プロパティマネジメント会社)を包括して管理できることなどが評価されており、導入企業数を着実に増やしています。

 

基本的にはBtoBを念頭に置いた製品のため、個人投資家が利用する機会は少なそうですが、取引のある不動産会社が導入した場合、レスポンスが速くなったり、情報提供が増えたりといった投資家目線でのメリットもありそうです。

 

以上、アメリカの今注目すべきプロップテック企業3社を取り上げました。今回は紹介しきれませんでしたが、不動産領域の新しいビジネスモデルに意欲的にチャレンジするプロップテック企業はまだまだ存在しますので、今後も機会を見て紹介していきます。

本記事は、富裕層のためのウェブマガジン「賢者の投資術」(Powerd by OPEN HOUSE)にて公開されたコラムを、GGO編集部にて再編集したものです。

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