最近はニュースなどで「SDGs」の話題を耳にする機会が増えましたが、環境への関心が高まるなか再び注目を集めているのが「太陽光発電投資」です。安定的な収益が見込まれることから、資産形成を進めるうえでの有力な選択肢としても関心が高まっています。まずはその基本を押さえていきましょう。
売電単価5円に!?「太陽光発電投資」知っておきたい10年後のリスク (※写真はイメージです/PIXTA)

 

太陽光発電投資のリスクとして考えられるのが、FITが終了する10年後以降の売電単価です。

 

10年後の売電単価がいくらになるか現時点では誰にも答えることはできませんが、2019年に住宅用のFITが終了した後、各電力会社及び電力自由化により参入してきた新電力会社の買取価格は7~10円となっています。現在、電力会社が電気を作るコストは一番安い水準で10円/kWhと言われていますので、将来的に発電コストが下がった場合は買取価格が5円程度になる可能性はあるでしょう。

 

仮に売電単価が5円とすると、売電単価40円でスタートした太陽光発電所は、売電収入が8分の1に低下します。一方、売電単価14円でスタートした太陽光発電所は、売電収入が約3分の1の低下で収まるので、現時点で売電単価が高い太陽光発電所が有利とは言えません。

 

2020年度よりソーラーパネルの設置容量が10kW~50kW未満の場合、発電量の「全量買取」ではなく自己消費後の「余剰電力の買取」になったことも気になるところ。

 

一般的な投資用の太陽光発電所は「野立て」と言われるもので、日当たりの良い土地の上に太陽光パネルを設置します。

 

太陽光発電所を建設する場所は、「日当たりが良いところ」が第一条件です。そのため、住宅が密集している市街地より、周りに建物がなく日当たりが良い地方の使われていない農地などが適していますが、そのような場所で電力を自己消費することは不可能に近いと思われます。

 

したがって、10kW~50kW規模の太陽光発電所の「事業計画認定」申請は激減するでしょう。それに伴い、10kW~50kW規模の全量買取型の太陽光発電所は供給量が減っていくことは明らかです。

 

中山 慎吾
トランス税理士法人 代表税理士