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先進国で唯一「GDP成長率」に明るい見通しが立つ米国
国際通貨基金(IMF)は、2021年の世界経済の見通しに関するレポートを更新し、全世界のGDPが6%成長すると見込まれると発表しました。
1月に同レポートが発表された際の見通しは5%だったため、0.5ポイントアップしたことになります。これは、成長率にして-3.3%の落ち込みだった2020年からの急回復を反映したものです。2022年にはこの傾向が落ち着き、例年水準(4.2%)に近い4.4%に落ち着くと予想されています。
全体としては回復基調にあるものの、IMFのチーフエコノミストのギータ・ゴピナス氏は、レポートの序文で、「地域や所得層により、回復のスピードはまちまちだ。これはワクチンの導入ペース、各国政府の経済支援の程度、観光業への依存度などの構造的要因の違いによるものである」と前置きしてます。
レポートにはさらに「観光や一次産品の輸出に依存している国、制作支援が小さい国では、GDPの損失が特に大きくなっている」と付け加えられています。
数字を引き上げたのは主に成長国ですが、アメリカのみが先進国のなかで唯一明るい見通しが立てられており、1月時点の5.1%と予想されていた成長率は、6.4%に引き上げられています。これを受けて、IMFのチーフエコノミストのギータ・ゴピナス氏は、「米国は、大規模経済国の中で唯一、このパンデミックがなかった場合の2022年のGDPレベルを上回ると予測されている」と述べています。
経済回復のカギを握る「ワクチン接種」が進んでいる
アメリカの回復を支える要因には、巨額の経済支援策に加え、ワクチンの接種の進捗の良さが上げられます。
ジョー・バイデン米国大統領が4月6日にホワイトハウスで行った演説で、「米国の成人全員が4月19日までにコヴィド-19ワクチンの接種を受ける資格がある」と発表したように、アメリカではワクチンの接種を急いでいます。
これまでに1億800万人がワクチンを接種しており、これは16歳以上の対象人口の40%以上、すなわち米国の総人口のほぼ3分の1をカバーしている計算になります。3月末の時点で、米国の成人の半数がワクチンを少なくとも1回は接種しているという試算もあります。
一方で、多くの州では依然としてコロナウイルスが増加している事実もあります。ミシガン州では、11月の大流行以来、高い増加率を示しており、最近の症例の4分の3は、英国で感染力の強いCovid-19の亜種であると考えられています。
こうした状況を踏まえ、バイデン大統領はバージニア州アレクサンドリアにある予防接種会場を訪れ、予防接種を行った医療従事者に感謝の意を表すとともに、予防接種を受けた人々に友人や家族にも同様の予防接種を勧めるよう促しました。
経済回復のカギのひとつであるワクチン接種が、今後どのように進んでいくのか注目したいところです。