「絵画の輸送を依頼したい」と思ったら…
美術品は、資産運用目的で購入されることも多く、「価値保全」が重要ですが、オークションなどにより移動させる機会も多くあるものです。今回は相談事例を元に、安心・安全な武蔵通商の「価値保全」のノウハウを見ていきましょう。
しかし、作品は大型の額装絵画で、購入したときの段ボールなどもありません。しかも、自宅のリフォームが終わるまで2~3ヵ月ほどかかるため、すぐに搬入することもできません。
一般的な運送会社の倉庫に預けてよいのか、そもそもどのように梱包して運ぶのかも分かりません。
特に気になるのが、輸送中の振動や温度・湿度の変化です。せっかく手に入れた作品だけに、輸送や保管の過程で傷や汚れ、変色などが起きるのは避けたいところです。
では、このようなケースで専門業者に依頼した場合、落札した作品はどのような工程を経て自宅まで届けられるのでしょうか。梱包から輸送、そして一時保管まで、武蔵通商の取り組みを順番に見ていきましょう。
1.問い合わせ
美術品、造形品に属する絵画、銅像、仏像、モデルシップ、ジオラマなどはすべて形状、形態が違うため、作業開始前に目的地や要望などを伺い、状況に応じ、下見作業を行った上で梱包設計を行ないます。
2.無料見積もり
安全作業のために、豊富な経験を活かして綿密なプランニングを行い、提案いたします。
3.梱包
絵画の場合は、額装の有無によって梱包方法に違いが出てきます。額装が無い場合は作品面に触れないよう、キャンバスであれば、背面が木枠になっているので、木枠部分で固定し、動かないように梱包します。
また、額装付きの絵画を梱包する際、作品面を地面に伏せた状態から梱包します。梱包完了時、立てた状態で保管することが一般的なので、立てても支障が無いように梱包箱を作成するのです。作品面に傷や汚れをつけないように梱包する必要があるため、繊細な発想と手さばきが必要となります。
造形品の場合、作品ごとに形状が異なるため、基本的には現地調査が必要です。製作者や所有者に、脆い・汚れがつきやすい箇所など、注意事項を確認します。
固定部材の使用も作品の材質に合わせて選定しています。たとえば銅製や鉄製の造形品の場合、素手で触ると指紋が付着します。指紋や汗が付着すると、酸化するリスクが発生してしまうのです。
材質により梱包資材、固定部材にも配慮をしなければ、あらゆるリスクに対応できないため、最大限に考慮した上で梱包設計を行っています。
4.輸送
木箱や木枠、強化段ボールに入れている場合、荷積みの際に振動を与えないように積み込みをするといった慎重な作業を行います。
段ボールで梱包されている作品の場合、サラシやゴムバンドなどの固定部材を使用します。機械輸送で使用しているラッシングベルトで固定をすると、締圧力が強すぎて作品が損傷してしまうリスクがあるのです。
基本的にはエアサス車両、空調エアサス車両といった特殊な車両で輸送する必要があります。エアサスはエアーサスペンションの略称で、振動と衝撃を緩和させる効果があります。また、一般道は道路状態が悪い場合があるため、基本的には高速道路を使用するようにしています。
温度や湿度の変化に敏感な作品の場合、空調エアサス車両を使用します。梱包同様に作品に使用している材質やお客様のご要望に合わせて、運行する車両を選定しています。
5.保管
美術品保管には、温度20℃、湿度50%あたりが最適な環境とされています。そのため、常温倉庫ではなく最低でも空調倉庫で保管する必要があります。湿度によって品質が変化する作品は、湿度管理が整った保管環境で保管します。
倉庫は、盗難防止のためにセキュリティや監視カメラが設置されているため、高額・希少な作品でも安心です。
また、基本的に作品は梱包された状態で保管していますが、長期保管を行う場合は、密閉状態になると作品が傷んでしまうこともあるので、材質や形状、作品に合わせて開封した状態で保管しています。
直射日光や紫外線により、作品が変色するといったことも考えられるので、遮光した環境下で保管することが一般的です。
美術品を慎重に運ぶ様子
オークションで動く美術品…求められる「価値を守る」輸送
振り返ると、新型コロナウイルスが猛威を振るった2020年が大きな転換であったように思います。コロナ禍で在宅時間が多くなったことを背景に、美術市場は瞬間的に拡大しました。現在は、資産という観点で美術品を求める層が増えており、その保管や輸送へのニーズが高まっています。
武蔵通商の澤田仁氏は、美術・物流業界の現状について次のように語っています。
「一時中断されていたオークションは、現在オンラインで頻繁に開催されています。コロナ禍でも世界のアート市場はオークションを中心に活況でしたし、日本もこれから香港と並ぶアート市場になる可能性を秘めています。実際、企業やミュージアムからは、絵画やオブジェの移動と保管、個人からは自宅から別荘へ、あるいはその逆の移動依頼を多く受けました。
コロナ禍、アートの存在意義が改めて見直され今後ますます需要は増加していく傾向にあり、併せて物流のニーズも高まっていくでしょう。
弊社では、一度依頼されたお客様の多くに、リピーターとなっていただいています。今後さらなる発展の可能性を秘めた日本の美術・物流市場のなかで、より幅広いニーズに応えられるよう、努力していきます」


